「エイリアンラーメン」と言われたら、どんなラーメンをイメージするだろうか。こちら、冗談でもなんでもなく、福岡県柳川市にて"ご当地の味"として展開されている。パッケージに描かれているのは、鋭利な牙をむきだしにした謎の生物。見た目からしていかにも強暴だが、こいつがエイリアンの正体なのだろうか?

エイリアンラーメン(税込270円)

有明海のエイリアンがラーメンに!

製造販売しているのは、柳川市内の食品会社「夜明茶屋」。同市が面している有明海および近海の鮮魚や珍味を取り扱っている老舗だ。早速、パッケージに描かれた生物の正体を尋ねたところ、"有明海のエイリアン"と呼ばれる「ワラスボ」であることが判明。ワラスボとは、体長約30~40cm、重量約60gの魚で、同じく有明海に生息するムツゴロウと同じハゼ科の仲間だ。

これがエイリアンの正体

特徴はギザギザの歯と、うろこが退化したため透けている身体。目も退化しているため、小さな点として頭部に確認できるのみだ。柳川市では干物や味噌汁の具などに利用されているが、日本では有明海のみに生息しているため、他地域の人にはあまり知られていないのが実情であった。

ワラスボの歯はとっても鋭利! かまれたら痛いに違いない

ところが今から2年ほど前、柳川市同様に有明海に接している佐賀市が、この珍魚を主演に制作した約2分半のプロモーション映像が話題となったことを皮切りに、ワラスボの名は一躍全国区にのし上がる。そのブームの波に乗り、ワラスボのおいしさをより多くの人に知らしめるべく誕生したのがこのラーメンなのだ。

緑色でとろみたっぷりのスープ

ワラスボでダシをとったスープはうまみたっぷりと言うが、緑色の液体はどう見ても魚から抽出されたものとは思えない。その疑問を夜明茶屋代表の金子さんにぶつけたところ、「クチナシで着色してるんです」との回答。

「ぼくのイメージでは、エイリアンは緑色の体液を吐き出すものなので、スープの色はどうしても緑色にしたかったんです。でもうちは安全・安心な食材を扱う店なので添加物はなるべく避けたくて、自然由来のクチナシで色付けすることにしました」。

クチナシで色付けしたスープは緑色

さらに、エイリアンの体液らしくスープにとろみをつけているのも特徴だが、完成時の2015年には、ちょうど10年ぶりに『スター・ウォーズ』シリーズの新作が公開されたこともあり、エイリアンと名のつくものを売り出すのにぴったりのタイミングだったという。なお、販売は2016年2月から開始された。

「インパクトある見た目なんで、最初は『なんこれ? 』(=福岡の方言で「なにこれ」)って言う人も多かったですが、食べるとみんな『うまい! 』って言ってくれました」。

そう明かす金子さんに商品に対する想いをうかがったところ、「エイリアンラーメンをきっかけに、有明海の現状に興味を抱いてくれる人がいたらうれしいです」と即答。

「今、有明海では漁獲量が激減してるんですけど、『エイリアンラーメンってなんだろう?』と検索したことで、そうした問題に気付くこともあると思うんです」。

ワラスボ未体験の人も有明海になじみがない人も、まずはこのラーメンを食べてみることからスタートしてはいかが? ちなみに、ワラスボエキス配合の「エイリアンエナジー」(税込216円)なんてインパクト大のエナジードリンクの用意もあるので、ラーメンとセットで注文してみるのもオススメだ。

「エイリアンエナジー」(税込216円)もご一緒に