血管の拡張による拍動性のズキズキした痛みが特徴の片頭痛は、寝不足やストレスなどが原因とされている。痛みにいつ襲われるかと不安だったり、毎日のように重い頭をひきずったりしている人もいることだろう。どうやらこの片頭痛には体形が関与しているかもしれない。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「体重と片頭痛の関係」に関するコラムが掲載された。やせすぎと肥満のいずれも、片頭痛のリスクになりうる可能性があるという。
片頭痛の正確な原因は不明だが、異常な脳の活動が原因と考えられており、疲労やストレスによって引き起こされるとのこと。主な症状は頭の片側の激痛だが、嘔吐や光と音への過剰反応といった症状もある。
米国の科学者たちは、約30万人を対象とした12の異なる研究をメタアナリシスした結果、肥満が片頭痛のリスク要因になりうることを発見した。皮下脂肪が頭痛を引き起こす分子を分泌すると考えられており、太りすぎの人の方は片頭痛を招きやすい。
研究者たちがBMIと片頭痛に関する入手可能なすべての研究に目を通したところ、BMIが30を超える場合は通常の体重を維持している人よりも、片頭痛になるリスクが27%高かったという(年齢と性別の調整済み)。
男女での罹患率に目を向けると、英国では5人に1人が片頭痛に悩んでいるとのデータがあるが、この罹患率は男性の3倍にもなるとのこと。この理由として、女性の方が慢性的頭痛に関連している腹部の脂肪が男性より多いことが指摘されている。すなわち、片頭痛のリスクが最も高いのは太った女性と考えられる。
しかし、「太っている人」ないしは「女性」以外にも片頭痛の危険にさらされている人がいる。それは「やせすぎの人」だ。この原因も上述の脂肪組織によって分泌される分子に関連しており、その分子量が多すぎても少なすぎても頭痛を引き起こすと考えられている。特に若年の女性は肥満関連疾病に罹患するリスクが高く、片頭痛になる頻度も高いという。
メタアナリシスを行ったBarbara Peterlin博士は「肥満ややせすぎは、片頭痛のリスク要因の中でも修正可能なものなので、片頭痛患者と医師がこのようなリスク要因を認識しておくことがとても重要です。体重の減量や増量で片頭痛のリスクを減らすことができるかどうかに関しては、さらに研究が必要です」と語る。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。