既報の通り、Cooler Master Technologyは製造から梱包までを日本国内の工場で行ったPC用電源ユニット「MasterWatt Maker 1200 MIJ」を4月28日に発売する。これに先立ち、都内で記者説明会を開催し、製品や開発に携わった国内メーカーの紹介などを行った。
「MasterWatt Maker 1200 MIJ」は、国産の高品質コンポーネントとCooler Masterの冷却技術を組み合わせたプレミアムな電源ユニットで、製品名の「MIJ」は「Made in Japan」を表している。容量は1,200W、80PLUS Titanium認証を取得する。
ワークステーションやデスクトップサーバ、開発用マシンといったエンタープライズ用途に加えて、トレーダー向けPCといった安定稼働が強く求められるシステムなどをターゲットとする。店頭予想価格は税別106,000円前後。日本だけでなく、ワールドワイドでも販売する。
4月20日の製品発表時には、「国内メーカーによる製造」としていたが、発表会では村田製作所が製造を行うことを明かした。村田製作所にとって、コンシューマ用電源ユニットの製造は初めての試みで、開発の初期段階から協力しながら進めてきたという。
通常、PC用電源ユニットではデジタル制御を用いるのが一般的だが、「MasterWatt Maker 1200 MIJ」では、保護回路を除き、ピュアアナログモジュールで、80PLUS Titaniumの高効率を実現している。アナログでデジタルに並ぶ高効率を達成するためには、高い設計技術と高品質なコンポーネントが求められるとしている。
具体的には、熱収縮スリーブと銅箔シールドを施したPFC用コイルや、太い銅線を採用したチョークコイルとEMIフィルタ、日本ケミコン製の105度個体コンデンサ、「MasterWatt Maker 1200 MIJ」のために村田製作所が開発した変圧器をはじめとしたコンポーネントを採用する。
また、通常は12Vから、3.3Vと5Vを変換する出力レーンとしている場合がほとんどだが、「MasterWatt Maker 1200 MIJ」は12V/3.3V/5Vの各レーンを独立させることで、出力の低下などを防ぐ。さらに20+4ピン以外のコネクタは、従来比1.5倍の電流許容量を持つ新型コネクタとなっている。
入力電流と電圧の位相差が少なく、高効率を実現したほか、立ち上がりや低ワット時の変換効率も良好だとアピールする。
冷却にはCooler Masterの静音ファン「Sllencio FP」を採用する。流体軸受けを独自に改良。軸受け部分に溝を設けることでオイルのロスや劣化を抑え、耐久性と防塵性能を高めた。負荷が50%に達するまではファンを動作させないセミファンレス機能に対応する。
騒音で考えると電源ユニットの影響はそれほど大きくなく、一見するとセミファンレスのメリットは薄いが、ファンの劣化による故障を防ぐことで長寿命につながるとアピールする。
Cooler Masterは、「MasterWatt Maker 1200 MIJ」について「今後の製品開発において、技術と品質の両面でリードする製品」と位置付ける。今後も日本企業とのコラボレーションを通じて、技術や品質管理のいい部分を取り込み、製品開発につなげたい考えだ。
発表会には、オーバークロッカーの清水貴裕氏も参加し、トークセッションを行った。「電源ユニットは耐久性を重視する」という清水氏。極冷オーバークロックのような厳しい環境では1週間でだめになってしまう製品もあるとのこと。「MasterWatt Maker 1200 MIJ」は、「耐久性を検証できるほど使い込めていない」としながらも、いまの段階では手ごたえを感じているとした。