福岡県柳川市と言えば川下りが有名。柳川生まれの文豪・北原白秋が故郷を想って綴った小曲集にも、この水郷の美しさがありありと描かれている。もちろん、川が美しければそこで獲れるうなぎはおいしい。だからうなぎは柳川の名物。でもだからといって、まさかうなぎ味のラーメンが発売されているなんて誰が想像できただろうか。

「うなぎラーメン」(税込270円)はデザインもキュート

本物さながらの風味は「つかみどころがないウマさ! 」

しかし、実際にその商品は存在する。名前はまんま、「うなぎラーメン」(税込270円)。パッケージに印字されたキャッチコピー「つかみどころのないウマさ! 」もうなぎのぬるぬる感とよくマッチしている。

製造しているのは、福岡県柳川市に本社を構える夜明茶屋。明治23(1890)年の創業以来、柳川一帯および近海の鮮魚や珍味を扱い続けている老舗だ。

名物のうなぎを食べずに帰るという現実

同社によると、うなぎラーメンが誕生したのは今から数年前で、開発に至った理由はうなぎの高騰にあるという。うなぎが高騰し続けているというニュースは、誰しも一度は耳にしたことがあるかと思うが、2000年代初頭と比べてなんと約10倍も原価が上がっているのだとか。

原因は乱獲と環境の変化にあると言われているが、なんにせよ土用の丑にうなぎを食べる風習まで持つ日本人にとって、手軽に手を出せる食品でなくなるのは悲しいことだ。実際この高騰のせいで、柳川を訪れても名物であるうなぎを味わうことなく帰路につく観光客が増えているというが、そうした残念な事態を少しでも改善したいとの想いから生まれたのがこのラーメンというわけ。

2017年現在もうなぎの価格は高騰中(写真はイメージ)

麺にもトッピングにもこだわりアリ!

「とは言え、インスタントラーメンでしょう? 」と首をかしげる人もいるかもしれない。しかし、そこはうなぎの産地。柳川の名にかけて、地元人も納得の味を再現しているのが特徴だ。試行錯誤の末に完成したスープは香ばしい蒲焼き風味。山椒までしっかりと添付されているとことも抜かりない。また、福岡県の農家が福岡のラーメンを作るために生み出した「ラー麦」を100%使用して作る麺は、コシが強く歯切れもよいと評判だ。

添付の山椒の粉をトッピングすると一気に気分が盛り上がる!

こうした厳選した食材選び、柳川のおいしい食材をより多くの人に知ってもらおうとする姿勢が評価され、2016年には、「柳川ブランド認定品」にも仲間入りしたうなぎラーメン。現地を訪れる機会があれば、ぜひお土産としてチョイスしてはいかが? 今すぐ食べてみたいという人は、同社のECショップを利用するのも一手だ。