昨年後半からようやく上昇基調に乗ってきた株式相場。これまで投資にちゅうちょしていた人も、このところの上昇相場を興味を持って眺めているのではないでしょうか。とはいえ投資経験がない人にとっては最初の一歩を踏み出すのがなかなか難しいもの。そのような人は少額から手軽に投資できる積み立て投資から始めることをおすすめします。
積み立て投資はどんな商品が選べるの? どんなメリットがあるの?
積み立て感覚で少しずつ投資する積み立て投資のメリットは、投資のタイミングを計ることなく、自動的に投資できる点にあります。
投資初心者の場合、いつ投資していいか迷っているばかりでいつまでたっても手を出せないという人も少なくありません。それならタイミングを気にしないで投資できるものから始めてみるのもひとつの考え方です。
また、積み立ての形で毎月同額ずつ投資していく方法は、ドルコスト平均法と呼ばれ、価格の安いときにはたくさん投資でき、高いときには少しだけ買うということが自動的にできるため、平均投資単価が低く抑えられるメリットもあります。
さらに、積み立て投資は銀行で始められるものもあるので、わざわざ証券会社に新たな口座を作るのは面倒と思っている人でも手間なく始められます。
積み立て形式で投資できる商品の代表は投資信託。証券会社だけでなく銀行でも取り扱っており、ふだん利用している銀行の商品を選べば申し込み手続きも簡単ですぐに始められます。投資先の選択肢も豊富なので自分が興味を持ている運用方針のファンドを選ぶことが可能です。
外貨への投資に興味がある人も、外貨建ての積み立て投信を利用すれば気軽に継続することが可能です。外貨建てMMFなど外貨ベースでの元本の安全性が高いファンドを選べば、価格変動リスクは実質的に為替リスクのみとなります。もっと積極的に運用したいなら、外貨で海外の株式などでの運用を行うファンドで積み立て投資を行うことも。
個別の株への継続的な投資を行いたいなら、1万円から積み立て投資ができる、るいとうが候補。もっと少額から個別株に継続投資をしたいと考えているなら、単元未満株の積み立てができる商品を選ぶといいでしょう。
このように少額でも様々な投資が継続してできるのが積み立て投資の最大の魅力です。
お給料が少なくても積み立て投資はできる?
積み立て投資は投信の積み立ての場合、月々1,000円から積み立て可能な金融機関がほとんどです。中には500円から積み立て可能な投資商品を扱っているところもあるので、これならお給料が少なくても無理なく始められるでしょう。投資信託の積み立ては証券会社を始め銀行など幅広く取り扱っているので、もっとも手軽に始められます。ただし、取り扱っているファンドは各金融機関によって異なるので、利用したい金融機関でどんなファンドを取り扱っているのかチェックしましょう。
どの金融機関も運用方針の異なる複数のファンドから選べるようになっているので、自分が投資したいタイプのファンドを探して積み立てを始めましょう。数千円の予算があるのなら、まとめて1本選ぶのではなく複数のファンドに分散投資するといいでしょう。それぞれの運用状況がどう変化しているかを比較するだけでも投資の勉強になるので、初心者の人は2本以上に分散することをおすすめします。
外貨建ての積み立てに適した外貨MMFは月々5,000円以上から積み立て投資ができる金融機関が主流です。米ドルを始めユーロ、豪ドルなどがメインの投資先となります。中には南アフリカランドやNZドルなどを取り扱う証券会社もありますが、マーケットの小さい通貨は為替変動リスクが高いので、初めて投資する場合には向いていません。慣れてきたらごく少額から試してみるといいでしょう。
個別株の積み立てができる、るいとうは月々1万円以上からですが、証券会社独自の商品の中にはもっと少額から積み立てが可能なものもあります。例えばカブドットコム証券の「プレミアム積み立て(プチ株)」は500円から単位未満株を自動買い付けする形で個別株の積み立てができる商品です。
積み立て投資をするときに注意すること
積み立て投資を行うときに注意したいのは、どこから投資資金を引き落とすかという点です。手始めに積立貯蓄感覚で投資もチャレンジしてみたいと考えているなら、ふだん使っている銀行口座から資金を自動的に引き落としてくれるものを選ぶこと。証券会社でも銀行口座から引き落としてくれるところもあるので確認しましょう。
また楽天カードやセゾンカードなどのクレジットカードを使って提携証券会社の投信積み立てを利用することも可能です。月々の積立額をカード払いできます。積立額に相当するポイントは加算されないのが一般的ですが、最初に積み立てを開始するときにポイントがプレゼントされるなどのキャンペーンもあるので上手に利用して始めるといいでしょう。
近いうちに本格的に投資を始めるつもりなら、証券会社の口座にある程度資金を移して積み立てをそこから引き落とす方法も。まとまったお金の一部を少しずつ投資したいという人はこのような方法で貯蓄と投資資金を分けて管理するといいでしょう。
積み立て投資したお金は、そのときの運用状況により増減します。時間分散してリスクを減らす投資方法とはいえ、状況によっては元本割れになる可能性も十分にありえます。ですから、お金が必要になったからといってすぐに引き出さなければならない資金で積み立て投資をするのは危険です。
積立貯蓄などで安全にお金を貯めたうえでプラスアルファの資金で始めること。無理のない積立額で小さく長く続けることが大切です。
堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。