スイスのバーゼルで開催されたウオッチ&ジュエリーの祭典「BASELWORLD 2017」にて、ジンは、同社の正式名称が「ジン スペツィアルウーレン」(ジン特殊時計会社)であることを再認識させるモデルを発表。その技術と理論、そして哲学にあふれる時計作りの姿勢から、今年も目が離せなくなりそうだ(掲載写真はすべてクリックで拡大表示。価格はすべて税別)。
EZM12
EZMシリーズは、ジンの「ミッションタイマー」である。EZMとは「アインザッツ・ツァイト・メッサー」の意で、「アインザッツ」は危険をおかす出撃・出動を、「ツァイト」は時刻を、「メッサー」は計測機器を意味する。なお、今年はEZMシリーズの20周年であり、ニューモデルの登場に期待が高まっていた。そんな中で発表されたのが「EZM12」だ。
今回のテーマは「航空救急」。いわゆるドクターヘリに搭乗する医師のために開発された時計だという。救急活動には「プラチナの10分、黄金の一時間」という言葉があり、最初の10分で応急処置を、事故から1時間以内に病院に搬送することで救命の可能性が大きくなる。そのために正確・迅速な計測が必要なのだ。
EZM12は、経過時間を把握しやすいカウントアップ式のインナーベゼルと、投与された薬品の効き目が出始めるまでの時間を計測できるカウントダウン式の回転ベゼルを装備。また、ヘリのローターを模した十字の秒針(パルスローター)は最長15秒間で針が0(12時)位置を通過することから、ストップウオッチへの切り替え操作をせずに心拍計測が行える。
さらに、その用途から、ケースは耐薬品仕様。水や薬品が溜まって腐食が発生しないよう凹凸部分が少なく、バックの彫り込みも浅い。時計内の湿度を一定に保つドライカプセルも、EZM12では(ケースにネジ穴を開けることを避けるため)りゅうずに内蔵している。ベゼルは付属するツールで簡単に取り外すことができ、シリコンストラップの取り外しも工具不要。なお、ストラップがオレンジ色のモデルも用意される。
ムーブメントは自動巻で、パワーリザーブは38時間。ケースはテギメント加工のSS(ステンレス・スチール)製、外径は44mm、ストラップを除く質量は122g。風防は両面サファイアクリスタルガラスで20気圧防水。価格は56万円で、発売予定は4月末~5月上旬。世界限定300本。