帝国データバンクは4月10日、旅行業者の倒産動向と経営実態調査結果を発表した。
海外旅行の企画販売など手がけていたてるみくらぶが3月27日、東京地裁へ自己破産を申請。旅行者が出発を断念せざるを得ない事態に陥ったほか、旅行代金が返還されないトラブルが発生するなど、多くの一般消費者が被害を受けた。
同社では、年度別で旅行業者の倒産推移を集計。また、2017年3月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)の中から業績比較が可能な旅行業者6,021社を抽出し、収入高総額の推移などについて分析した。
調査の結果、2016年度の倒産件数は前年度比16.0%増の29件で、3年ぶりに前年度を上回った。過去10年の倒産件数を見ると、リーマン・ショック後の2009年度(52件)、東日本大震災の影響があった2011年度(50件)、円安により海外旅行者数が減少したほか尖閣諸島問題が過熱した2013年度(40件)に多く発生している。
負債総額をみると、2016年度はてるみくらぶ(2017年3月破産、負債約151億1300万円)、同社関係会社の自由自在(2017年3月破産、負債約34億6400万円)が倒産したことで、比較可能な2000年以降で最大の203億9,300万円(前年度比403.0%増)となった。
業績比較可能な6021社の収入高総額は2年連続で増加していたが、2016年に3兆7,377億円となり、前年比2.0%の減少に転じた。