ルームシェア経験者の話を聞くと、印象や生活は千差万別。「生活が楽しくてしかたがなかった」「結婚を機に解消したが、できたらもっと住んでいたかった」などの前向きな感想から、「食材の融通で揉めて同居を解消した」「友人の友人たちのたまり場になってしまってけんか別れした」など、ネガティブな体験談まで……。では、ルームシェア成功の秘訣と事前に知っておきたい注意点について、住まいに詳しい専門家の高田先生にお話を聞きました。
Q.友達と二人でルームシェアをしたいけど、注意点はある?
A.費用や掃除の分担、退去時のことなど話し合っておきましょう。もちろん、住居探しの際には、「2人で住む」ことを不動産会社に伝えることは必須です。
誰かがそばにいるルームシェアは、一人暮らしより費用や精神面で負担が軽くなります。反面、共同生活ですから、分担意識や気遣いが必要になります。想定されることを決めておき、ルームシェアを始めても、ときどき話し合って問題を解決できるようにしておきましょう。
家賃や光熱費などの負担額
キッチンやリビングは共用することになりますが、問題は個室の分け方。全く同じスペースが2つある間取りは、なかなかありません。どちらかが広かったり、日当たりがよかったりということがあります。その場合、家賃をどのように分けるのかが問題になります。
お互いが納得すれば、折半でもよいかもしれませんが、2つあるうち、片方の部屋だけが好条件の場合は、そちらの部屋を1000円~5000円ほど高くしたほうがよいかもしれません。また、「6畳だけど北向き」「4.5畳だけど南向きで日当たりがよい」という部屋もあります。それぞれがどんな条件を重視するかを話し合って、賃料の負担割合を決めましょう。
光熱費は、折半がよさそうです。使った分をきちんと分けるのは難しいからです。使用した分を毎月、請求が来てから清算する方法や、「一人1万円」などと1ヶ月分、一定額を事前にまとめておき、請求が来たら支払う方法があります。学生と社会人がシェアする場合などでは、滞在時間の長い学生のほうが光熱費の使用量が多くなるので、事前にお互いが了解しておく必要もあります。
ルール決め
共同生活をスムーズに進めていくうえで、ルールを決めておくことは大切です。たとえば、キッチンやトイレなどの共用施設の清掃は、一定期間で交代するようにしておきます。リビングにカレンダーを貼って、1週間ごとに担当者の名前を書いておくのはどうでしょうか。さらに、各自の部屋には立ち入らないことをはじめ、「自分がされたらいやだな」と思うことを最初に話し合い、ルールとして書いて貼りだしておきましょう。
退去時のことを決めておく
ルームシェアもいつかは終わるときが来ます。そのとき、どうするかも事前に決めておきます。契約者が退去する場合、契約していない側が賃貸契約を引き継いで住み続けられない可能性もあります。
おわりに
新たな友人と二人でシェアしたいと考えても、大家さんがOKしないこともあります。事前に不動産会社に確認し、文書に明記してもらいましょう。また、シェアする友人とは、退去時にかかる費用の清算方法も確認しておきましょう。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中
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