SMBC日興証券は3月22日、運営するウェブメディア「FROGGY(フロッギー)」による、実践的投資イベント「FROGGY LIVE -あなたのお金をカエル授業-」を開催した。2016年11月から開始したFROGGYは、「お金の常識をカエル。」をコンセプトに、お金や投資に関する様々な情報を毎日の暮らしと結びつけながら新しい切り口で提供していく投資情報ウェブメディア。

SMBC日興証券ダイレクトチャネル事業部副部長の吉岡伸輔さん、なつやすみ代表取締役社長のかっぴーさん、SIXクリエイティブ・ディレクター大八木翼さん

イベントのオープニングでは、SMBC日興証券ダイレクトチャネル事業部副部長の吉岡伸輔さん、FROGGYで漫画連載中のかっぴーさん(なつやすみ代表取締役社長)、FROGGYの制作を担当しているクリエイティブ・ディレクター大八木翼さん(クリエイティブエージェンシーSIX)が登場。今回は「お金について考える人を増やすには」をテーマに行われたトークディスカッションの内容をレポートしていく。

かっぴーさん: 僕は昨年まで広告業界でデザイナーとして働いていましたが、描いた落書きが話題になり、漫画家デビューしました。たまたま大八木さんに見つけていただいて、FROGGYで連載『金子金子の家計簿』をしています。

大八木さん: 私自身は広告業界にいて、SIXというクリエイティブエージェンシーで働いています。投資など、お金の話となると難しく感じる人が多いと思います。僕自身、結婚するまでお金のことを一切考えずに、ただ仕事で面白いものをつくることで、それが評価されるはずだと信じて働いていたんです。ところが、あるとき「ちょっと待てよ。すごい機会損失をしていたな……」という気づきがあり、そういった気づきをもっとみなさんにも持ってもらいたいなと思うようになりました。そういった中で、一番面白いコンテンツをつくってくれるであろう方として漫画連載をお願いしたのが、かっぴーさんでした。

かっぴーさん: はい。がんばりまーす!

お金のことを話しづらい意識がある

続いてFROGGYが行った「“人生100年時代”のお金についての意識調査」の結果について、吉岡さんが解説しながら進行。なお、同調査は3月8日~9日、全国20~60代の男女625名を対象に、インターネットリサーチで実施されたものだ。

吉岡さん: 今日はみなさんとお金について考えていきたいと思います。今回行った調査の対象者に「現在、資産運用をしているか」を聞いたところ、27.5%が「資産運用している」、72.5%が「資産運用をしていない」と回答しています。また、「将来に向けた自分なりの資産形成プランがあるか」については65.8%が「なし」と答えました。

「将来に向けた自分なりの資産形成プランがあるか」

吉岡さん:また、「お金(貯蓄や投資など)に関する知識には、ある程度自信があるか」を聞くと、67.7%が「自信がない」と回答しています。

「お金(貯蓄や投資など)に関する知識には、ある程度自信があるか」

吉岡さん: 友人知人や家族とお金の話をすることに抵抗がある人は47.7%でした。このほか、「お金のことは、周囲に相談するより一人で考えたり調べたりすることが多い」では58.4%、「投資をしている・考えていることは周囲には話しにくい」に対しても42.8%が同意しています。

お金にまつわる質問

吉岡さん: 調査結果のように、かっぴーさんや大八木さんもお金のことは、人に話しづらいと感じますか?

かっぴーさん: 僕は話します。というか、みんな本当はお金の話をするのが好きなはずじゃないですか。

大八木さん: 本当は好きなんだけど、しゃべりにくいのかも。僕の場合は本当にお金を使ってばかりなので、お金がない! とか払えなかった! といった笑い話はできるんですけど、俺はこれで100万円儲けた! といったことって、多分みなさん言わないんですよね。

吉岡さん: 儲かった話ですよね。

大八木さん: そうそう。儲かった話をすると、ちょっとはしたないというふうに思われることがあって、抵抗があるのかなあという風には思います。

吉岡さん: 金融機関にいる私もそうですよ。お金の話を聞くのは本当に大変。日々難しいなあと痛感しています。

老後に必要な資金は?

吉岡さん: 近年先進国の平均寿命は、10年あたり2~3年のペースで伸びており、誰もが100歳まで生きる「人生100年時代」と言われています。では、そうなったときに老後に必要な資金はどのくらいだとお考えでしょうか。夫60歳・妻55歳の夫婦世帯における1カ月の生活費は約27.6万円、妻一人の1カ月の生活費は約15.6万円(総務省「2015年 家計調査年報 高齢夫婦無職世帯の家計収支」)。男性60歳の平均余命が23.55年、女性79歳(夫の死亡)の平均余命が12.54年(厚生労働省「2015年簡易生命表の概況」)ですから、夫婦二人の期間を24年、妻一人の期間を13年と想定すると、老後に必要な総額は夫婦で約1億400万円となります。

大八木さん: ありえない! どうしたらいいんだろう……。

かっぴーさん: 無理! 無理ですね。

吉岡さん: 調査の中で、現在資産運用を行っていない人に、「将来、資産運用をしてみたいと思うか」を聞いたところ、「やってみたい」と答えたのは22.7%でした。老後資金のことを気にしている一方、投資にはなかなか手が出ていないようです。大八木さんやかっぴーさんも、投資はこわいといったイメージはありますか?

(「現在、資産運用を行っていない」と回答した人)「将来の資産運用をしてみたいと思うか」

かっぴーさん: そうですね。少なくとも僕は自力じゃ無理そうだなあって思いますね。今日この会場に来るときさえ2回電車乗り間違えてるくらいなので。投資も乗り間違える気が……。

大八木さん: 私自身はいくらかお金を貯めたり、株を売ったり買ったりしています。「積み立てでコツコツやっていくと気づいたら増えている」と、みんなが言ってたことは本当だったんだと実感しました。そういう一回でも得をした成功体験があると、だんだん面白くなってきて、いろんな企業について学んだり、本を読んだりと、回路が開けるのかなと思います。もったいないのは、投資等をやってこないまま年齢を重ねたから今の年齢から始めると恥ずかしい、投資をやっている人に比べて踏み出しづらいと思っちゃうことですね。

かっぴーさん: 僕も31歳で漫画描きはじめましたからねえ。大丈夫ですよ。

吉岡さん: 普通のサラリーマンの方だと、定年60歳でそこから65歳。私も48歳なのであと20年ほど働くことになります。かっぴーさんの場合、自営業なのでいつまででも働ける。

かっぴーさん: なかなか本が売れないから、まだリタイアできないですね……。

大八木さん: 一気に売れたらそれも夢じゃないですからね(笑)。僕は不労所得という言葉に憧れを持っています。難しいものを難しい人がやっている投資の世界というのを、もう少し柔らかく、もう少しとっつきやすく簡単にできたらいいなとFROGGYをつくっていて思います。

FROGGY開発メンバーに、iPhoneが登場したときにAppleがすごい! と思ったことをきっかけに株を買った人がいます。ちょうどいまここ10年ほどで企業が成長し、実際株がはねている。

かっぴーさん: すごいなあ~。

大八木さん: レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんの本を読んで、投資というのは、本当に好きな会社や応援したい会社にお金を払うことが、将来的な自分のメリットになるというお話には非常に共感しました。

かっぴーさん: たしかに、応援したいから買うっていうのは真っ当ですよね。うちの親はお姉ちゃんが就職した会社の株を一生懸命買ってましたね。そのくらいが最初はやりやすいですよね。

大八木さん: 入り口はどこからでもいいですが、ひょんなきっかけがあると良いですよね。

吉岡さん: 調査結果にあるように、お金のことを人に話すのは格好悪いことだと考える方もいるかと思いますが、そういった世の中を"ケロッ"と変えていきたい。お金に対して、正しい知識で向き合える方をどんどん増やしていきたいというのが私どもの思いです。