てるみくらぶは3月27日、資金繰りの悪化により今後の営業の見通しが立たず、東京地方裁判所に対して破産手続開始の申立てを行った。旅行ツアーの旅行代金の返金は、同社からは行われず、加盟している日本旅行業協会(JATA)による弁済業務保証金制度での対応か、破産手続での対応となるが、いずれの場合も全額返金は難しい状況となっている。

同社は平成10年の設立以来、主に海外旅行のパッケージツアーなどを販売。今回の破産申立て経緯は、3月23日に予定されていた国際航空運送協会(IATA)に対する航空運賃に係る支払が遅れる事態が発生。同社は新規の航空券を発券することができない状態に陥る可能性があったため、新規の受注業務が困難となり、3月24日以降の受注業務を一時停止で対応した。その後も資金調達の目途をつけることができず、今回の破産手続開始の申立てに至ったという。

3月27日9時に破産手続開始決定(平成29年(フ)第2020号)を受け、土岐敦司弁護士が破産管財人として選任。これにより、同社の財産の管理処分権限は、破産管財人である土岐敦司弁護士に専属することになった。

3月27日以降出発予定の旅行ツアーについては催行しない。すでに同社に支払い済みのツアーであっても、同社から現地滞在中に発生する送迎代金・宿泊代金その他の費用については支払われていない状態のため、3月27日以降の出発の自粛を呼び掛けている。既に旅行先に滞在中の人の発券済みの航空券については、有効に利用できるとしているが、念のため、各航空会社のカウンターで確認を求めている。

利用できなかった/利用できない旅行ツアーの旅行代金の返金は、同社からは行われず、加盟しているJATAによる「弁済業務保証金制度」での対応か、「破産手続き」での対応となる。なお、利用できなかった/利用できない旅行ツアーのみならず、同社が参加しないことを勧める/要望する通知を受け取ったためツアーに参加しなかった場合でも、旅行代金の返金は同様の対応となる。

加えて、同社から参加しないことを勧める通知を受け取ったが、参加した結果、追加費用が発生したものに対しても、同社からの補てんは行わないとしている。なお、3月26日までに出発した旅行先でのキャンセル(利用不可)は、同社による支払いの遅滞等が原因となっている。

「弁済業務保証金制度」に関しては、同社が加盟しているJATAにおいて、保証社員としての制度を利用。客から預かった旅行代金に関しては、同社がJATAに納付している弁済業務保証金分担金2,400万円の5倍に相当する1億2,000万円を限度として、JATAによる弁済制度を適用する。

なお今回、旅行者の債権総額がJATAの定める弁済限度額を超えることが見込まれており、預かった旅行代金の全額の弁済は実施されない見通し。そのため現在、該当者に対して弁済制度の案内を行っており、旅行代金の返金に関しては、JATAサイト内で内容の確認及び情報提供を求めている。

JATAへの申請手続の際、同社に支払った旅行代金の支払記録書類(金融機関振込証明書、弊社領収書、クレジットカード利用控等)・旅行申込書・予約確認書・請求書・旅行日程表等、関係書類の提出が必要になる。

また、同社は弁済制度の適用を受けるために、利用者との「旅行取引記録リスト」(代表者の氏名、電話番号、住所、旅行の内容、人数)を電子メール等にてJATAに提出する。「旅行取引記録リスト」に個人データの記載を希望しない場合は、同社窓口に電話またはファックスにて、4月7日までに本人からの連絡が必要となる。

「旅取引手続リスト」に基づき、別途、JATAから6月中旬を目処に、弁済制度の適用を受けるための手続案内書面が送付されるように手配される。万一、6月21日を過ぎてもJATAからの案内書面が届かない場合は、JATA 法務・コンプライアンス室への問い合わせを求めている。

「破産手続き」においては今回、多数の客が存在するため、同社が保有する財産の状況を勘案する限り、客に対する配当が実施されるかどうか現時点において明らかではないとしている。今後、破産手続の進捗に応じて、破産管財人からホームページを通じて告知等を行うとしている。