自宅で一杯やろうと冷蔵庫を開けたら、ストックしていたビールがなかった……なんてシチュエーションは、誰しも一度は経験があるだろう。そんなときでも、日本では最寄りのコンビニエンスストアや自動販売機などですぐに購入できるため、非常に便利だ。
ただ、一度日本を離れれば、街中にコンビニはおろか、自販機すら見かけない国は山ほどある。私たちの「当然」が海外では「意外」に感じられるケースは、往々にしてあることだ。
そこで今回は、日本在住の外国人20人に「日本との母国のアルコール事情」について聞いてみたので、気になった回答を紹介しよう。
Q.コンビニエンスストアや自動販売機でお酒が簡単に買える日本をどう思いますか。母国の事情を明らかにした上で教えてください
問題アリ
・「反対です。子供が『お酒は普通の飲み物だ』と感じるような環境で育つのは危険と思います。アメリカではあり得ないです」(アメリカ/20代後半/男性)
・「お酒を簡単に買えることに反対です。未成年者も買ってしまう恐れがあります。自国では大きなスーパーにしか公に販売されておらず、外国人向けコーナーに販売されていますが、モロッコ人でも買うことができます」(モロッコ/30代前半/男性)
・「大人にはとても便利だと思いますが、子供も買えてしまう自動販売機があるのはよくないと思います。母国ではお酒を売っているコンビニは多いですが、自動販売機そのものはあまり普及できなさそうだと思っています。理由は犯罪率が高すぎるからです。あと、コンビニの前で夜中にお酒を飲む若者もいますが、そういう人がうるさく、近所迷惑になる場合があります。そのため、夜中に若者が集まるコンビニではお酒を売らなくなる傾向があります」(ブラジル/40代前半/男性)
・「簡単に入手できるのは危険だと思う。コンビニについては、日本と台湾はほぼ同じ、店員の判断に委ねている。また、台湾では自動販売機でお酒が買えない」(台湾/20代後半/男性)
・「インドでは自動販売機では買えないが、最近はコンビニでも買えるようになってきた。ただ、傾向としてはよくないと思う。未成人でも買えてしまうからです」(インド/30代後半/女性)
・「コンビニなどのお店で売っているのはいいと思いますが、自販機で売るのをやめてほしいです。ポーランドでもどこでも売ってるのですが、未成年者の場合は売らないことが多いです」(ポーランド/40代前半/女性)
問題ナシ
・「子供が飲まない限り、問題ないと思います。母国では簡単に買えません」(ギリシャ/30代後半/男性)
・「年齢制限さえあれば問題ありません。母国も同じです」(トルコ/30代後半/男性)
・「特に問題がないと思う。母国でもお酒を買うには不自由がない」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「お酒を簡単に買えることは悪いことではないと思います」(ドイツ/40代後半/女性)
・「別にいいと思う。タイでは夕方以降しか買えないことになっている」(タイ/30代前半/女性)
・「お酒が簡単に買えるというのは普通だと思います。フランスでも同じです」(フランス/30代前半/女性)
・「母国では未成年は買うことができませんが、大人は自由に買えますね。自己責任で買うなら問題ないと思います」(モンゴル/40代前半/女性)
母国事情を教えます
・「イタリアでは自販機自体の数が非常に少なく、野外であまり見ないですし、お酒は入っていません。お酒はほとんどの場合、スーパーで買います。あまり簡単に手に入らないです」(イタリア/30代前半/男性)
・「母国はイスラム国なので、酒などは販売していない。日本で酒を買ったことがないです」(エジプト/30代前半/男性)
・「母国では簡単に購入できない。インドネシアは80%ぐらいはイスラム教で、その宗教上でお酒は禁止されているため」(インドネシア/30代前半/男性)
・「韓国にお酒の自販機はないが、コンビニでは身分証明書があれば購入できる。居酒屋とかでも身分証明書を確認するため、アルコールチェックはかなり厳しいと思う」(韓国/30代前半/女性)
■総評
結果は、アルコールが購入しやすい環境にある日本を「問題アリ」(反対派)と回答した人と「問題ナシ」(賛成派)と回答した人がほぼ半々になった。反対派は未成年でも購入しやすい点や、子どものうちからアルコールが目に触れやすい環境にあることを危惧していた。一方、賛成派は購入する際の年齢確認さえ遵守されていれば問題はなく、大人からすれば買いやすい状況は好都合との考えがあるようだ。
近年、アルコールを販売する国内の自動販売機は数を減らしているが、一部のホテルや旅館ではまだ設置されており、年齢認証をすることなく購入できる自販機もある。また、コンビニエンスストアでも年齢確認が徹底されているとは言いがたい。
アルコールはストレスを発散させてくれる存在ではあるが、未成年が手に入りやすい環境にあるとしたら問題だ。誰もが安心してお酒を楽しむためにも、私たち日本人は「問題アリ」と答えた外国人の意見に耳を傾けるべきなのかもしれない。
※写真と本文は関係ありません
調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート