「レトロな味わい」「眺望GOOD」「倉庫っぽい」など、新しい視点で不動産を発見し、紹介しているサイト「東京R不動産」。今回は、東京R不動産ならではの視点で、家賃や設備など物件探しの基本から、不動産サイトの使い方のコツまで、あなたにとって最高の物件を見つける方法を教えます。
家賃の"本気の上限"を決めておく
日々、数多くの物件を紹介していて、「ああ、この人、決められないんだろうな……」と感じる瞬間があります。それは、おしゃれなデザイナーズ系と超レトロ系など、まったく違うタイプの物件を同時に問い合わせるお客さんと出会ったとき。
そう、自分の中の物件選びの基準が、まったく絞り込まれていないのです。「とりあえず、ここもここも見たいです!」と言われると、僕ら不動産屋は萎えてしまうので、「とりあえず」はNGワードにしたいくらい(笑)。
基準という意味で、もっとも重要なのは家賃でしょう。こと10万円台の物件において、数万円は雲泥の差。1回買ったら終わりの服やモノとは違って、家賃は毎月発生しますから、もし13万円を18万円に上げようと思ったら、そもそもの稼ぎを変えなければいけません。
自分が払える本気の上限を決めたら、それ以上の物件は見ない。……そう強く主張したいところですが、1割までならオーバーしてもまあOK。それくらいなら、飲みに行く回数を減らして家賃にあてることもできますし、交渉しだいで下がることだってありますから。
あなたの条件は、相場から逸脱していないか
少し不便な場所にある物件を見に行って、「この物件が、代々木上原にあったらなあ……」と言うお客さんがいます。でも不動産の価格というのは、立地や築年数、広さなどによって、総合的に形成されるもの。仮に、便利で人気も高い代々木上原に似たような物件があったとして、さて同じ家賃で借りることができるでしょうか?
何か条件を良くしたければ、価格が上がると思わなければいけません。当たり前の話ですが、これは物件探しをするうえでの鉄則。もし家賃を上げられないのなら、広さを減らすとか、駅からの距離を遠くするとか、そうした「バーター取引」をしないと帳尻は合わないのです。
ちなみに、代々木上原の高級住宅街のど真ん中に、ある格安物件があります。鉄骨2階建てで30平米、その家賃はなんと8万円! このエリアでは破格ですが、一部和室だし、お風呂はバランス釜。これこそ、立地や家賃は譲らないけれど、設備はがまんする典型といえるでしょう。
"オール3"より"1つの5"がある物件を
では「最高の物件」に出会うために、一番重要なことは何でしょう。それは、自分がグッとくるポイントを見つけることだと思っています。
駅からも遠くないし、値段もそれほど高くない、設備だって悪くない……。こうして「まあいいか」といって決めてしまった無難な物件は、なかなか「最高」にはなりえません。一方で、階段で4階まで上がらないといけないけれど、すばらしい眺望がある。そんな物件は、いくら古くても、設備が微妙でも、必ず「最高」だと感じてくれるお客さんが見つかります。すべてのマイナスを眺望がふっ飛ばしてくれるのです。
通知表の成績で例えれば、オール3ではなく、他は1と2ばかりだけど体育だけは5という物件を探すわけです。もちろん「オール5がいい」という人もいるでしょうが、そういう物件は、仮にあったとしても家賃が高い。そして、オール5を目指した結果、オール3に落ち着く。それって結局、すべてを取り逃していますよね。
設備は麻薬
とかく不動産業界は、新築で駅から何分で、オートロックがあって、といったスペックや設備に重きを置きがち。でも、「それだけではない」という人がけっこういたので、東京R不動産のような変わったサイトが成り立つのです。
気をつけてほしいのは、「設備は麻薬」だということ。宅配ボックスや自動お湯はり機能に気軽に手を出してはいけません。一度その便利さを知ったら、もうやめられないですから(笑)。