日本郵便と本田技研工業は“社会インフラ整備”に向けた協業の検討を開始した。その中身は、郵便配達にホンダ製の電動二輪車を使うための実証実験だ。郵便配達の「カブ」を置き換えることで、ホンダは電動バイクの普及につなげられるか。

ホンダの「スーパーカブ」をベースとする郵便配達用の車両

2018年中に具体化、EVカブの導入は明言せず

実証実験の中身はこれから詰めるそうで、その時期や規模について詳しいことは明かされていないが、ホンダで二輪事業を担当する取締役執行役員の青山真二氏は、協業の発表会で「2018年中には何かしらの形で始めたい」とスケジュール観を語った。

ちなみに、ホンダは「スーパーカブ」を電動化した車両「EVカブ」を開発中で、2018年にも市場投入する予定で動いているらしいが、このEVカブが郵便配達に使われるかどうかは現時点で決まっていないという。

日本郵便代表取締役副社長の福田聖輝氏(左)とホンダの青山氏

日本郵便が配達に使っているバイクは全国に約8万5,000台ある。これが電動バイクに置き換わることになれば、当然ながらホンダにとっては商機となる。ホンダは2016年度に世界で約1,800万台のバイクを販売する予定だが、日本市場は事業環境が厳しく、販売予想台数も16万台と少ない。郵便配達用の電動バイクを売ることができれば台数増加に直結するし、人目につく頻度も増えるので電動バイクの知名度向上にもつながるだろう。

ただ、今回の協業に対してホンダが期待していることは、一時的な販売台数よりも、もっと長期的で本質的なことのような気がする。