日本通信は22日、SIMロック解除なしでソフトバンク版iPhone・iPadを利用できる格安通信サービス「b-mobile S 開幕SIM」の販売を開始した。
日本通信が販売を開始した「b-mobile S 開幕SIM」は、ソフトバンクユーザーにとって、MVNO利用の選択肢を広げるサービスとなる。対応するのはiPhone 5以降のソフトバンク版iPhoneとセルラーモデルのソフトバンク版iPad(iPad Pro/iPad Air以降/iPad mini以降/iPad/iPad 2/第3、4世代iPad)だ。
今回はデータ通信専用SIMとなり、iPadの通信料低減を目的にした利用がメインと考えられる。iPhoneでの利用も想定されるが、音声通話やテザリングに非対応となるため、iPhoneユーザーへの広がりは限定的なものになりそうだ。
月額料金は、NTTドコモ系のMVNOが提供する料金体系よりも割高感が強い。そもそもソフトバンク系MVNOがほぼ存在しなかったのは、MVNOがソフトバンクに支払う接続料が高いという課題があるからであり、今回の料金体系に割高感が生じるのは仕方ない面がある。とはいえ、ソフトバンクの料金体系より大幅に安く、2年契約の縛りもないなど、一部の人にとっては大きなメリットがあるサービスになる。
ソフトバンクとの料金比較。ソフトバンクの料金は音声基本料金を除いたデータ通信部分の料金となる。ソフトバンクの3GB/7GBの料金は対応のものがないためにそれぞれ2GBと5GBの料金を掲載(日本通信プレスリリースより) |
今後期待すべきは、音声通話対応のサービス提供だろう。音声通話対応サービスについては「順次提供したいと考えている」(日本通信広報部)という。
仮にサービス提供となれば、最も恩恵を受けそうなのは、iPhone 5/5s/6ユーザーだ。これらはSIMロック解除の非対応機種であり、ソフトバンクと契約を継続しなければモバイル通信が使えない端末だからだ。もはや2年以上前に発表された端末であり、ニーズも限られるだろうが、同じ端末を長く使い、安価に運用したいという要望に応えるサービスの登場が期待されるところだ。
なお、日本通信では、イネイブラーとしての事業展開も図り、サービス基盤とモバイル回線の提供を法人向けに行っていくという。今回のサービス開始をきっかけに、ソフトバンク系MVNOが増えていく下地は整ったといえるだろう。