今やほとんどの仕事でパソコンが必要になったということもあり、一日中いすに座ってパソコン画面とにらめっこしている人も多い。ただ、デスクワークが増えるとどうしても運動不足に陥りがち。そして、やはり疾患リスクも高まるようだ。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「デスクワークと循環器系疾患罹患リスク」にまつわる記事が掲載された。最新の報告によると、オフィスワーカーは1日に7マイル(約11.3km)を歩かないと循環器系疾患のリスクが高まる可能性が指摘されている。
研究者たちは111人の郵便局勤務者を対象に、7日間にわたって研究を行った。そのうち55人は事務職で、残り56人は郵便物の集配人だったという。参加者の体重や身長、さらには年齢や性別、家族歴、血圧などのデータをもとに心疾患リスクなどを調査した。
その結果、事務職の平均腹囲が97cnだったのに対し、集配人の平均腹囲は94cmと3cmの開きがあった。BMIに関しても事務職の方が大きく、10年間の循環器系疾患罹患率を比較しても、事務職は2.2%、集配人は1.6%と差が生じた。この研究結果から、「5時間以上のデスクワークを続けると、仕事が1時間増えるごとに腹囲が2cm増加し、循環器系疾患の罹患リスクが0.2%高まる」と考えられている。
「長時間座ったままでいることと、大きな腹囲、多い中性脂肪、低いHDLコレステロールは密接に関連しており、心臓病の罹患リスクを高めています」と、研究リーダーであるウォーリック大学メディカルスクールのウィリアム・ティグベ博士は語る。そのうえで、心疾患リスクをゼロレベルにするためには、1日に1万5,000歩、距離にして7~8マイル(約11.3~12.9km)歩くか、1日に7時間にわたり直立することが必要としている。
「我々が人類へと進化する過程で『一日中座って過ごす』という機能は備わらなかった。狩りをしたり物を採集したりするため、1日7~8時間立って過ごすことが最も健康的であるように私たちの体はできているのだろう」と話すのは、同僚研究者であるグラスゴー大学メディカルスクールのマイク・リーン教授だ。
つまるところ、心臓疾患罹患リスクを避けるには、立っていなければならないというわけだ。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。