「何だかこう、オシャレな部屋にしたい! 」と思っても、何から手を出したらいいのか分からないという人も多いのではないだろうか。そんな時に、「あのドラマ、あの映画で見たような部屋」を目指してみるのもひとつの手だ。もちろん、部屋の広さやインテリアを完全に一致させることなどできない。そこで今回、憧れの映画&ドラマ部屋をつくるポイントを、インテリアコーディネーターの三宅利佳さんに聞いてみた。
デザインの4要素からアイテムを選ぶ
三宅さんは、3月17日・18日に「プロヴァンスA・K・B」(東京都千代田区)にて、無料で一般公開する体験展示「楽天でつくれる憧れの映画&ドラマ部屋」の3部屋をコーディネイト。体験展示のタイトル通り、全てのアイテムをインターネット・ショッピングモール「楽天市場」からセレクトし、部屋を再現している。
今回、体験展示で展開している部屋は、ドラマ「ゴシップガール」のブレア・ウォルドーフとダン・ハンフリー、映画「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーンが演じるホリー・ゴライトリーの3部屋。会場となった各部屋は20平方メートル程度の広さであり、決して広くはない。「本当に人が住んでいるかのようなリアルさがあり、広くはないが逆に身近に感じられるような空間にできたのではと思っています」と三宅さんは言う。
実際に部屋を見る前に、どのような点に注意してコーディネイトをしたのかを知っておこう。楽天市場には現在、2,755店舗のインテリア専門ショップがあり、北欧から西海岸、ブルックリン、タッキー、和など、様々なテーマのインテリアがそろっている。映画やドラマに登場するアイテムとほぼ一緒、というものを見つけることもできるだろうが、予算の問題もある。その場合は、雰囲気やイメージで代替品を選ぶことで、結果、コンセプトに統一感が出てくるという。
代替品を選ぶ際に大事なポイントとして、デザインの要素である「色」「形」「質感」「配置」を考えておきたい。色はそのままカラーのことで、形はデザイン、質感はサラサラやスベスベなど、配置はレイアウトとなる。
これらの要素の中で一番影響を受けるものが「色」だ。アイテムによっては、「色は同じだけど形が違う」「色は違うけど形は同じ」というものもあるだろうが、コーディネイトに正解はないものの、形は違っても色を合わせることでイメージがしやすくなるという。または、クッションのようなものの場合、色が同じものと形が同じものの2つのアイテムをかけあわせることで、ひとつのアイテムをイメージさせることもできるという。
ブレア部屋はエレガントに
では、実際に部屋を見てみよう。まずはドラマ「ゴシップガール」のブレアの部屋から。ブルーとホワイトで統一された部屋は、超お嬢さまのブレアのイメージ通り、曲線を描くエレガントな家具をちりばめることで、ゴージャスな雰囲気が醸し出されている。その中に、ブラックを差し入れることで、シックさがプラスされている。
たっぷり丈のカーテンを使用し、ドレッシーな雰囲気を演出。決して広くない部屋にあえて大きなインテリアを用いることで、コンセプトイメージを高める効果が期待できるとのこと。どうしても生活感が出てしまうエアコンには、養生テープをした上で塗装やデコレーションなどのDIYを。原状回復も簡単にできる。
「実際にブレアの部屋はデコボコしています。この部屋は元々そうしたデコボコがあったので真似をしましたが、壁紙をうまく使うことで質感の違いを出すこともできますよ」(三宅さん)。
ホリー部屋は自由さも表現
続いては、映画「ティファニーで朝食を」のホリーの部屋を見てみよう。映画のタイトルからゴージャスなイメージをもつ人もいるかもしれないが、ホリー自身は所有すること・されることを嫌い、自由に生きる女性。実際の部屋には、本棚があるのに本がなかったり、ソファーは猫脚のバスタブをぶった切ったものだったりと、ホリーの自由さが現れている。
再現部屋では、家具らしい家具をそろえるのではなく、テーブルは木箱をひっくり返したもの、収納キャビネットはトランクなどと、統一感のない家具と空間の余白で、ホリーの部屋らしい簡素な雰囲気をつくりだしている。ベッドのフレームもシンプルそのもの。映画の中では猫がひとつのポイントであり、また、お酒もホリーらしさを表現するのにぴったりな存在なので、再現でもひとつのアイテムに使ってみるのもいいだろう。
ポイントは3種類の壁紙を用いていること。素材と柄が違うものを組み合わせることで、部屋全体のアクセントになっている。「実際のホリーの部屋には、このような柄の収納キャビネットがあるんですが、収納キャビネットを使わずとも、扉っぽいデザインの壁紙を貼ることで表現することができます」(三宅さん)。
ダン部屋は知的オシャレに
最後に紹介するのは、ドラマ「ゴシップガール」のダンの部屋。本を愛する庶民派の寡黙男子であるダンは、父親はアートギャラリーを経営、母親は画家、というアートな家庭環境で育ったという背景がある。そのため、部屋は本とアートがひとつのポイントになっている。
レンガの壁が印象的だが、もちろん、これは壁紙だ。そして、本棚も壁紙で表現している。使い込んだ皮や木の家具により、どこか知的で落ち着いた雰囲気に。
この部屋のエアコンもブレアの部屋同様、雰囲気に合わせてDIYが施されている。面白いのがテレビの表現方法。液晶テレビをそのまま飾るのではなく、ケーブルの配線整理等に用いられる目隠しのモールに塗装をして、テレビが味のあるインテリアへと生まれ変わっている。
ソファーには2つのクッションが使われているが、これは事前の解説にもあった、ひとつのアイテムを2つのアイテムで表現したもの。「実際のダンの部屋には、ひとつのクッションしかありませんでしたが、2つのクッションを使って色と形を表現することで、全体としてイメージをつくることができます」(三宅さん)。
ラグでレイアウトをつくる
体験展示で使われているインテリアは全て、現時点で購入できるものであるため、気に入ったアイテムがあれば、インターネットを通じてその場で注文することもできる。「部屋がとても狭いから、コーディネイトなんて……」というは、まずは"見せ場"をつくることから始めてみてはいかがだろうか。三宅さんによると、この"見せ場"の鍵はラグにあるとのこと。
「例えば1Rに住んでいると、ひとつの部屋の中にリビングやダイニングなどが混ざってしまいますが、ラグを敷くことで、その空間の役割が定まります。コーディネイトではまず、レイアウトを定めてエリア分けをします。レイアウトが決まると"見せ場"がつくれるので、『この面だけ壁紙を張り替えようかな』『ここに大きい絵が欲しいかな』ということが決められます。そのレイアウトを決めるのに、ラグはひとつのポイントとして使えるんです」(三宅さん)。
自分好みの部屋はきっと、何げない部屋時間でも楽しくしてくれることだろう。「まずはこの"見せ場"だけでも」から、始めてみてはいかがだろうか。「楽天でつくれる憧れの映画&ドラマ部屋」はインターネットでも紹介しているので、イメージをつかみたい人は参考にしてみては?