ソニー生命保険と横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 相馬直子准教授、ブリストル大学(英国) 社会・政治・国際学研究科 山下順子講師は3月17日、「ダブルケアに関する調査」の結果を発表した。調査は2016年10月29日~11月6日、全国の大学生以下の子どもを持つ父親・母親2,100名を対象にインターネットで行われた。

「ダブルケア」とは、子育てと親(または義親)の介護が同時期に発生する状況を表す言葉。晩婚化と出産年齢の高齢化によって、「ダブルケア」に直面する人が増えているという。

「ダブルケアの状況」

自身のダブルケアの状況について聞いたところ、全体では「ダブルケアを経験した人」は6.5%、「ダブルケアが自分事の問題である人」は13.5%となった。ダブルケアという言葉を聞いたことがあるか質問したところ、全体では、「ある」12.6%、「ない」87.4%となった。

ダブルケアで負担に感じることは?

ダブルケア経験者(138名)に、ダブルケアで何が負担に感じるか(感じたか)を聞いたところ、「精神的にしんどい」が最も多く59.4%、次いで、「体力的にしんどい」55.8%、「子どもの世話を十分にできない」51.4%、「親/義理の親の世話を十分にできない」47.8%、「経済的負担」47.1%が続いた。

「ダブルケアで何が負担に感じるか(感じたか)」

有職者(1,547名)に、介護や育児を理由に、仕事をやめたことがあるか聞いたところ、全体では「はい」が13.3%、「いいえ」が86.7%となった。男女別に仕事をやめたことがある人の割合をみると、男性では6.2%、女性では27.3%だった。また、ダブルケアの経験別に仕事をやめたことがある人の割合をみると、ダブルケア経験者では29.8%で、特に女性経験者では37.8%、男性経験者でも24.6%となった。

「介護や育児を理由に、仕事をやめたことがあるか」

有職者(1,547名)に、ダブルケアと仕事の両立のためには、職場にどのようなことが必要だと思うか聞いたところ、ダブルケア経験のある有職者(114名)では、「子育て・介護のための休暇を取りやすくする」と「柔軟に出社時間を変えられるようにする」はともに52.6%となった。

ダブルケアの費用はどこから出ている?

ダブルケア経験者(138名)に、ダブルケアに関する毎月の費用を聞いたところ、平均負担額の合計は8万1,848円となり、内訳は、「親(義理の親)の医療・介護関連費用(介護用品や移動費も含む)」が2万9,623円、「子どもの保育・教育関連費用(習い事や塾等も含む)」が3万3,087円、「その他」が1万9,138円だった。

「ダブルケアに関する毎月の平均負担額」

親(義親)の医療・介護関連の費用について、「親の年金や預貯金」「自身の世帯の収入」「他の兄弟や親戚の収入等」の分担割合を聞いたところ、親の年金や預貯金では、「100%」との回答が21.0%で最も多く、「50~59%」(17.4%)や「80~89%」(15.2%)にも回答が集まり、50%以上は親の年金や預貯金から出ているという人が71.7%になった。他方、自身の世帯の収入では「0~9%」が26.8%で最も多くなったものの、「20~29%」との回答も19.6%と2割みられた。また、他の兄弟や親戚の収入等では、「0~9%」が最も多く62.3%だった。

「親(義親)の医療・介護関連にかかる費用の分担割合」

ダブルケア経験者(138名)に、ダブルケアに対する備えとして、やっておいたほうがよかったことを聞いたところ、「親が元気なうちに介護について話し合う」が最も多く34.8%、次いで、「子育て・介護に関する地域の支援制度を調べる」が31.9%、「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」が31.2%で続いた。

「ダブルケアに対する備えとして、やっておいたほうがよかったこと」