3月も中旬となり、そろそろ春の足音が近づいてきた。新生活が始まる4月に心機一転、ダイエットなどの新たな習慣にチャレンジしてみようと考える人もいるだろう。ただ、ダイエットを始めるとしたら、その前にストレスマネジメントをしっかりとしておいた方がいいかもしれない。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「ストレスと肥満の関係」に関するコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。
私たちは常に多かれ少なかれストレスを感じながら生きているが、長期的なストレス状態は肥満につながると科学者たちは警告している。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究グループは、54歳以上の男女2,527人の髪の毛を検査した後、4年間の追跡調査を実施した。髪の毛からは、血糖値や免疫応答、炎症を含む身体のさまざまな変化に影響を及ぼすストレスホルモン「コルチゾール」のレベルを調べた。
その結果、髪の毛から高レベルのコルチゾールが検出された人の方が大きな腹囲をしている傾向があり、体重も重くBMIも高かったという。いわゆる肥満に分類される人からは、特に高レベルのコルチゾールが確認されていた。
これらの事実から、「コルチゾールが高いレベルにあると、人はつい糖質やカロリーがたっぷりな食べ物に手が出てしまう」と研究者は考えている。さらに、このストレスホルモンは脂肪をどこにためこむかも決めるのだが、ストレスの多い人の場合はおなかまわりにためこむようになるとのこと。
この研究成果を発表したサラ・ジャクソン博士は「これらの結果から、慢性的ストレスと高レベルの肥満は関連していることがはっきりとわかる」と語る。髪の毛のコルチゾールを計測すのは比較的新しい方法ではあるが、適切で容易に行えるため、今後の研究に役立つとしている。しかし、今回の調査対象者は中高年層であり、「若い人とコルチゾールのレベルが異なる可能性もある」とジャクソン博士は付け加えている。
さらに現時点では、慢性的に高まっているコルチゾールが肥満の「原因」なのか、それとも「結果」なのかを確定できていない。すなわち、コルチゾールが高いから肥満になるのか、肥満だからコルチゾールが高レベルになるのかがわかっていないということだ。
この2つの因果関係を明らかにしようとするには、さらに研究を進める必要がある。維持すべきコルチゾールのレベルが判明すれば、新しい肥満の治療につながるかもしれない。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。