日本の自動車販売は堅調さを取り戻しつつあるのだろうか。日本自動車工業会(JAMA)が発表した2016年度の需要予測は、対前年比で約10万台の増加となる503万台強となった。2015年度は500万台を割って話題となったが、今年度は再び大台に乗せる見通しだ。日産自動車の次期社長でJAMA会長の西川廣人氏は、国内の自動車需要をどのように見ているのだろうか。
販売台数は3年ぶりで前期比プラスの見通しに
「かなりいい数字だ」。JAMAの定例会見に臨んだ西川氏は、足元の自動車需要に好感触を得ている様子だった。乗用車、トラック、バスを合わせた四輪車の国内需要についてJAMAは、2016年度の販売見通しを対前年度比で2.3%の増加となる503万8,300台と発表。2016年9月に公表した前回の見通しからは約20万台の上振れとなった。
ここ数年の需要の推移を見てみると、販売台数は2013年度の約570万台から減少を続け、2015年度にはついに500万台を割った。2016年度が見通し通りに着地すれば、台数は3年ぶりに対前年比でプラスに転じることとなる。
販売台数が堅調な理由として西川氏は、各社の新車投入効果や顧客のポジティブな反応などを挙げていた。確かに、ここ最近は日産「ノート」、トヨタ自動車「C-HR」、マツダ「CX-5」など、販売好調なクルマが多いという印象だ。
2017年度の販売台数については500万台強を見通すJAMA。西川氏は「足元は堅調だし、(自動車メーカー)各社が新商品を投入する予定なので、上振れに期待できる」とコメントした。
先端技術が続々と登場する自動車業界
環境技術や安全技術などの先端技術が続々と登場する自動車業界。そういった状況を踏まえ、国内需要をどのように喚起していくかについて問われた同氏は、「(各社が)いかに魅力ある商品を投入し、それを確実にアピールできるか」が重要と指摘した。アピールの場となる2017年の「東京モーターショー」では、「新しいモビリティ社会をお見せして、それにつながる技術が実現しつつあるということを」消費者に伝えたいと意気込みを示した。
新しいモビリティ社会を語るうえでは自動運転技術が重要なテーマとなるが、西川氏は首都高速道路や羽田空港周辺などで始まる実証実験に言及したうえで、環境が整えば、自動車メーカー各社による安全性・実用性に関する実証も進むとの見方を示した。日産はDeNAと組んで自動運転車両を活用した新たな交通プラットフォームを開発する予定で、西川体制では実証実験が具体化してくるものと見られる。