公益社団法人 色彩検定協会はこのほど、「色と高齢者に関する実態調査」を発表した。調査は2月10日~14日、高齢者(60代以上)1,000人と30代の男女200人を対象にインターネットで行われた。
調査の結果、加齢により眼の機能は衰えていく中、高齢者の93%が「色の見えづらさ」や「色の見間違い」を「感じたことがない」と回答。60 代、70 代、80 代と年代が上がるに従って自覚や実感が低くなる傾向があった。
「色の見えづらさ」や「色の見間違い」の経験があると回答した高齢者にその具体的なエピソードを聞くと、「自動車運転など交通関連」の回答が最多となった。 「信号や道路標識が見えにくい」「赤信号が青信号に見えて危うく事故になりかけた」などの意見もあった。
「危険」「注意」「安全」で想起する色について高齢者と30代の回答では、高齢者は「危険=赤色」「注意=黄色」「安全=緑色」、30代は「危険=赤色」「注意=黄色」「安全=青色」と「安全」が違う回答に。また他にも「地味と感じる色」の質問では「高齢者=灰色」「30代=茶色」など世代間ギャップがあった。
同協会の名取和幸氏は、「単色では『色の見えづらさはない』と思っているようですが、高齢者は日常生活において少なからず色の見分けにくさを経験していると調査結果から推察できます。高齢者が把握しづらくなる階段などの段差、信号機の色、道路標識、服用している薬の色見分けなど、日常生活における危険を回避できるよう視覚能力の低下への自覚を促すとともに、自治体や企業も色のユニバーサルデザインに一層取り組む必要があると思われます」とコメントしている。