説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneの「メモリ」ってなにをするもの?』という質問に答えます。

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iPhoneを含むスマートフォンやパソコンにおいて「メモリ」とは、ランダムアクセスメモリ(RAM)のことで、プログラム(アプリ)の一時作業領域を意味します。高い頻度で読み書きされるうえ高速性が要求されるため、RAMは容量が大きく速いことが重要です。

設計図の作成にあてはめて考えたとき、CPUがどこになにを書くか考えて指示を出す人間(頭脳)の役割だとすると、RAMは「机」に似ています。図面を広げ筆記具を並べておくためには、眼前に広がる机は広ければ広いほど有利だからです。机が狭いと図面を折り畳んでおかねばならず、作業効率は低下して設計図の完成にも余分な時間がかかることになります。

iPhoneのシステム(iOS)がアプリを実行するときには、アプリを内蔵ストレージから読み出し、RAM上に展開します。先ほどのたとえに当てはめていうなら、内蔵ストレージは図面を収納しておく「棚」になるでしょうか。必要に応じて棚から出して机に広げるイメージです。

そして「机」は「棚」に比べて保管能力に劣ります。RAMは通電をやめると情報が失われてしまうため、データを長期保存できません。だから必要なときに内蔵ストレージからデータを読み取り、RAMに展開するという方法をとるのです。さらに、RAMは内蔵ストレージに比べ圧倒的に高速なぶん高価なため、おいそれと容量を増やすことはできません。

ところで、パソコン用のOSには、「机」の面積が不足しそうなとき「棚」である内蔵ストレージを補助的に使う機構(ページング)が用意されていますが、iOSにはありません。iOSでは、メモリ容量が不足するとアクティブではないアプリを強制終了するなどの方法で、限られたRAMを有効活用しているのです。とはいえ、この手法にも限界があるため、iPhoneのメモリ容量も増加傾向にあるというわけです。

アプリの高機能化に伴い、iPhoneのメモリ容量は増大傾向にあります(画面はイメージです)