トーマツ イノベーションは3月3日、「女性の働くを科学する」にて実施した調査の結果を発表した。中原淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授/NPO法人Educe Technologies 副代表理事)との共同調査研究プロジェクト。調査は2016年9月~12月、同社が提供する研修の受講者を中心に5,402名を対象に行われた。
女性は働く意欲は高いが機会が不十分
実務担当者期において、男性社員よりも女性社員は大変でもやりがいのある仕事を求め(男性18.5%に対して女性30.0%)、長く働き続ける意思を持ち(同66.3%、74.8%)、キャリアデザインをしていることが分かった。
一方で、「成長につながる仕事を任され引き上げてくれる上司がいる」と回答したのは、女性社員より男性社員の方が割合が高い(5件法で男性が平均値3.34、女性3.20)。男性は女性よりも「同性の上司と働きたい」(男性32.0%、女性18.1%)、「同性の同僚や後輩と働きたい」(同29.8%、26.6%)と回答する割合も高い。
女性が働き続けたい職場の特徴
女性がその職場で働き続けたいと思うかどうかに最も影響を与えるのは、「女性に対しても平等に機会を与えられるかどうか」(標準回帰係数.164)、次いで「責任をもって仕事に取組み、互いに助け合う職場かどうか」(同.132)、「残業を見直す雰囲気があるかどうか」(.081)となった。
一方で、「既婚女性や子育て中の女性の柔軟な働き方をサポートする雰囲気がある」「女性の昇進を奨励する雰囲気がある」といった項目は関係がなかった。
昇進時の戸惑いに男女差
男性も女性も、リーダーに昇進したてのころは役割の移行に伴って等しく戸惑いを受けることが分かった。ただし、男女で戸惑いの種類は異なり、男性が「プレイヤーとマネジャー、両方の役割の業務バランス(プレマネバランス)」(5件法で3.29)、「多様な人材活用」(同3.03)、「ネットワークづくり」(同2.77)における課題が顕著であるのに対し、女性は「曖昧な状況や葛藤、板挟み(メンタルタフネス)」(同3.09)などに課題を感じてる。
また、これらの戸惑いを受ける割合は、管理職や昇進に対してネガティブな印象があると高まることが分かった。特に女性は「ビジネスで成功した女性は妬みを買いやすい」と感じる傾向が強い(男性7.2%に対して女性22.2%)。
男性は「昇進したいと思っていた」割合も高く(男性20.2%に対して女性14.7%)、「昇進は社会や会社からの承認を得ること」と感じて昇進を受け入れる割合も高くなっている(男性20.1%、女性14.3%)。一方の女性は、「上司のために役職を引き受けざるをえない状況になった」が男性に比べて高かった(男性22.5%、女性32.2%)。