Huaweiは、Mobile World Congress(MWC) 2017で新しいハイエンドスマートフォンの「HUAWEI P10 / P10 Plus」などを発表、スペイン・バルセロナ現地でも多くの注目を集めている。今回は、両機の日本での発売計画などについて、デバイス部門で日本と韓国を統括する呉波氏に話をきいた。
――まず、P10 / P10 Plusを国内で発売するかどうかを確認させてください。
呉波氏: 今は、すべての可能性を検討しているところです。P10やP10 Plusは、ファッション、デザインを重視するユーザーをターゲットにしています。また、これまでよりもハイグレードなレンズを搭載するなどの特徴があり、P10もP10 Plusも(国内投入を)真剣に検討したいと思います。
日本では2015年にHUAWEI P8 lite、16年にP9 liteを発売しています。P9liteはP8liteの後継で、日本国内では2~3万円クラスの機種でした。日本のSIMフリーのマーケットにさまざまな価格帯の商品を投入していますが、P9は4.5~6万円の製品です。P9は日本で良い結果、良い評価を得られましたので、この価格帯のシリーズの製品は強化していきたいと思っています。
日本で流通しているスマホは約2,600万台で、70~80%が8~10万円のものだとされています。SIMフリーというのは(日本では)新しいビジネスなので、当初から8~10万円のものを投入することは考えていませんでした。だからといって、今のSIMフリースマートフォンが8~10万円の製品と同じ機能を持たない、とは限りません。
――AppleがiPhoneで日本市場向けにFeliCaを搭載してきました。御社はどうお考えですか。
呉波氏: Appleが日本で新たな高みに登った、ということだと思います。喜ばしいことですが、Android端末メーカーにとってはさらなるシェア縮小のきっかけになってしまうかもしれません。
FeliCaの搭載自体は、個人的に技術的なイノベーションがあるわけではないと思います。日本のマーケットの消費者ニーズを洞察し、理解したうえでの対応ではないでしょうか。いかなるメーカーも、Appleのこの取り組みには学ぶ必要があります。ニーズを捉えて、理解して、製品に実装するというマインドを学ぶべきだと思います。
Huaweiも消費者のニーズを出発点にします。そのため、この目標に向けて努力していきたいと思います。
――日本市場での目標をお聞かせください。
呉波氏: それは「生き残ること」です。これは長年、社内でも社外でも繰り返し言い続けています。生き残ることが目標なので、製品の価格設定も利益を前提としていません。その微々たる収益の中からブランドに関わる活動などを行っています。
Huaweiは日本のSIMフリーマーケットで存在感が高まっているという評価を得ています。ブランド価値向上の小さな一歩を踏み出したところだと感じています。正しい軌道に乗れていると考えているので、今年は2016年に行った活動を強化していきたいと思います。
大阪に開設したカスタマーサービスセンターは、店舗という形態でユーザーに安心感をもってもらうことを目指しています。今後、エンドユーザーと直接のコミニュケーション活動も強化していきたいと考えています。日本は、スマートフォンの購入に消費される金額が年間200億ドルと非常に巨大な市場。重要なターゲットマーケットです。
――Huawei製品の強みは、どこにあると思いますか?
呉波氏: 技術力の高さです。特にチップセットの分野や製品のイノベーションの部分で、継続的にイノベーションを続けています。それによって消費者に新しいユーザー体験を提供し、さらに安心感のある体験を提供しています。
Huawei製品は、品質、質感、操作性がユーザーに受け入れられたのではと考えています。一度Huawei製品を使うと、ほかの会社の製品を使ったとき違和感を覚えるようになると思います。
非常に細かい部分にわたって改善を行うことで、ユーザー体験の改善を強化してきました。これは自信を持って言いたいのですが、スマートフォンを12~18カ月間使う中で、使えば使うほど操作がサクサクと速くなるのは弊社の製品だけです。
日本ではハードウェアスペックやデザインでユーザーを引きつけるとともに、究極のソフトウェアを使っていきます。小さいことの積み重ねばかりですが、こうしたことを通じて、ユーザーの満足感を得ていきたいと思います。
SIMフリーマーケットは、この3年間、毎年倍々で伸びています。17年はますます伸びると考えており、前年比3倍の成長を期待しています。SIMフリーマーケットは、車で言うと3年かけて徐々にエンジンが暖まってきたところで、今年は加速する年だと考えています。
2011年5月に赴任してから6年になりますが、まだ及第点にはいたっていません。日本にいる間に学んだことで印象深いのは、5万円の高級料理を食べても、(牛丼店の)吉野家で500円で食べても、サービスや食材の品質は同じようなものということです。本社に対しても繰り返し言っていますが、ローエンドの端末だからといって品質や質感が劣っていてはダメで、ハイエンドでもローエンドでもユーザーに満足してもらう必要がある。ローエンドでは品質事故が起きたり、故障率が高かったりしてもいいというわけではありません。
日本では、食事にしても車に乗るにしてもホテルに泊まるにしても何をするにも安心感があります。日本での生活に慣れると、海外での生活に違和感を覚えるほどです。
ハイエンドでもローエンドでも、モノを作る以上はユーザーに安心感、安全感、信頼感をもって使ってもらえるよう取り組むべきと、従業員に対しても話しています。ちなみに、私は高級レストランで食事をするよりも、吉野家で食べる方が好きですね。