囲碁や将棋の電脳戦で名人たちと対等の戦いをしたり、将来はなくなる職業があると予測されたりするくらい、AI(人工知能)は様々な分野で革新的な役割が期待されています。そんなAIを使ったサービスが、投資の世界にも登場しています。「投資はしたいけれど、どうしたらいいのか分からない……」という初心者こそ活用したい、このサービスを紹介します。
ロボアドって何? 投資にどう活用される?
"フィンテック(FinTech)"という言葉を見たり聞いたりしたこと、ありませんか? 金融サービスとIT技術を融合させることで、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を合わせて作られた造語です。資産管理や決済システムを始め仮想通貨など、様々な金融ビジネスを大きく進化させることが期待されています。
ロボアドバイザー(ロボアド)もフィンテックのひとつで、AIを駆使して行う個人向けの資産運用サービスです。これまでプロに運用を任せるサービスは人件費などがかかることから、まとまった資産を運用する富裕層が対象でした。ところがAIを活用することによってコストを低く設定できるようになり、運用資産が少ない個人投資家へも提供できるようになったのです。
日本よりも一足先にロボアドが広まっている米国では、提供している企業の多くが運用資産残高を大きく増やし、2015年には10倍以上の急拡大をしている企業も登場。ニーズの高さが注目されています。
ロボアドって何をしてくれるの?
簡単に説明すると、「運用をする目的は?」「金融商品を選ぶときに重視することは?」「投資経験は?」など、自分のプロフィールや投資経験、運用資金はどんなお金なのかといった質問に答えていくと、目的やリスク許容度などに合わせて最適な運用方法や投資する商品をコンピューターが提案してくれるシステムです。
投資初心者は"損をしそう""何に投資していいかわからない"など不安や心配がつきものですが、普通預金金利が0.001%のいま、自分が許容できるリスクの範囲で少しでも有利にお金に働いてもらう方法を、手軽にアドバイスしてもらえるなら活用しない手はありません。 サービスを提供する会社によって質問内容などの詳細は異なりますが、利用する際の基本的な流れは下図の通りです。
大きく分けると「アドバイス型」と「投資一任運用型」があり、アドバイス型は運用方法や商品の提案まで、投資一任運用型は商品の購入や市場環境に合わせた資産内容の見直しまで自動的にやってくれます。ですからアドバイス型のロボアドの提案で運用をする場合は、1年に1回程度は自分で運用状況を確認し資産構成を見直す必要があります。
実際に利用するにはどうすればいい?
2016年11月に野村證券、2017年1月に大和証券と大手証券会社もサービスを開始し、いまやネット証券、銀行、運用会社など、下図で紹介している会社を始め多くの会社が展開しています。
いずれもパソコンやスマホの画面に従っていけば、運用方法の提案までは問題なく進めます。提案の段階までは無料で行っているので、いますぐ投資を始めようと思っていない人も体験してみると勉強になります。いま話題のロボアド、是非体験してみてください。
鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。