カメラと写真のワールドプレミアショー「CP+2017」が23日、パシフィコ横浜で開幕した。ワコムのブースでは、写真家がレタッチに活用できる「Wacom MobileStudio Pro」シリーズの新製品などを紹介。各種のセミナーも開催されている。
ブースに展示されていたのは、液晶を搭載しないペンタブレット「Wacom Intuos Pro」、液晶を搭載するペンタブレット「Wacom Cintiq Pro」、Windows 10を搭載した液晶ペンタブレット「Wacom MobileStudio Pro」の各シリーズ。従来製品に比べて4倍の筆圧検知レベルを持つ「次世代ペンテクノロジ」を搭載するなど、機能が向上している。
ディスプレイの高解像度化も進み、Wacom MobileStudio Proの16型モデルは4Kに対応、13型モデルはWQHDだ。Wacom Cintiq Proの16型モデルも4Kに対応したほか、13型モデルはフルHDとなっている。
ハイレベルなユーザー体験を実現するのは、新しい「Wacom Pro Pen 2」。従来製品よりも繊細なタッチ、精度、レスポンスを実現しており、ペンの追従性も向上している。筆圧レベルは従来比の4倍(8192レベル)で、筆を扱うようにディスプレイ上に線を描けるという。
ブースのスタッフに話を聞いたところ、「写真のレタッチを行う場合、PCのマウスで輪郭をなぞっていくのは限界がある。Photoshopなどのソフトを使う場合、小さいアイコンを選択するのもストレス。Wacom Pro Pen 2なら思うままに線を描けて、マウスの変わりとしても使えるので、レタッチ作業がだいぶ楽になる」とのことだった。
Wacom Intuos Pro、Wacom Cintiq Proは、WindowsマシンやMacつないで使用する。「アナログ作業に慣れた人にも使いやすい。例えばイラストレーターなら、髪の毛を描くときに毛先まで表現できる。写真家なら口角を上げる、皺をなくすというマウスではできないような細かい作業も行える」(ブースのスタッフ)。
ちなみにタッチパネル対応だが、ペンと手が両方ともディスプレイに接地している場合、ペンのタッチを優先できるといった配慮も。また、タブレットの上に紙を敷けるモデル「Wacom Intuos Pro Paper Edition」も用意。専用ボールペンで紙の上に描いたスケッチを、簡単にデジタル化できるのが特徴だ。
ブースのスタッフは「各製品とも従来モデルより薄く、使いやすくなっている。プロの写真家の方、イラストレーターの方にはもちろん、ハイアマチュアの方にも使っていただけたら」と話す。いまはプロとアマの境がなくなってきており、CP+のようなイベントを通じて来場者に広くアピールしていく考えだ。
プロは写真をどのように編集してる?
ワコムのブースでは、いくつかのセミナーも開催。ここでは、プリンティングディレクターの松平光弘氏によるセミナーを紹介する。
松平氏は、仕事にWacom Intuos Proを活用。プリンティングディレクターとは、国内外の写真展のプリント製作や、文化財の複製などを手がける職業だ。「写真家からプリントを依頼されたときは、まず作品の主題を明確にする」(松平氏)。
写真編集の原則は、女性の化粧と同じと語る。というのは、ファンデーションを塗ってから口紅を塗るように、最初に全体を整えてから、徐々に細部を詰めていくのがコツだそうだ。
具体的には、Wacom Intuos Proのペンを使って、明るさや色を変えたい部分を適宜選択している。セミナーでは実際に、写真家の鈴木吼五郎氏の作品「鉱山、プランテーション、縫製工場」を編集したエピソードなどが紹介された。
プリント製作に18年携わっている松平氏だが、いまだに迷うことはあるそうだ。そんなとき、どうしているのだろう。ヒントは「長く見ていて飽きないプリントかどうか」として、写真をプリントして部屋に飾ることの重要性を説いた。
マイケル・ジャクソンの「最高の教育とは巨匠の仕事を見ることだ」という言葉も紹介。「良いものを見て、自分の作品と比較する。すると何が足りないのか気付く」(松平氏)。最後に、プリント製作で大切なことは「技術」「感性」「愛情」として、「あとは、Wacom Intuos Proがあること」(松平氏)と笑顔でまとめ、セミナーを締めくくった。