昨年12月に発売されたトヨタ自動車「C-HR」が今年1月の新車販売台数ランキングで第4位に入るなど、コンパクトなSUVが人気だ。多くのユーザーが注目するようになった理由はどこにあるのか。メーカーにメリットはあるのか。代表車種を例に挙げながら紹介していこう。
RAV4がパイオニア
コンパクトSUVの歴史を作ったのは日本だ。具体的には1994年に発表されたトヨタ「RAV4」がパイオニアである。
それまで多くのSUVは、オフロード走行を念頭に置き、頑丈なラダーフレームに粘り強さが身上の商用車用エンジンを積むという成り立ちが多かった。ところがRAV4は、同クラスの前輪駆動セダンのプラットフォームやパワートレインを用いていた。
おかげでモダンかつスポーティなデザインや、舗装路での洗練された走りをものにすることができた。悪路走破性は、たとえば同じトヨタの「ランドクルーザー」と比べれば見劣りしたけれど、それを欠点に数える人はわずかだった。ファッショナブルなデザインとスポーティな走りが楽しいと評価したユーザーが多かったのだ。
その後は本田技研工業「CR-V」や富士重工業(スバル)「フォレスター」、日産自動車「エクストレイル」など、ライバルが続々と登場するものの、当時の多くの日本人は、「悪路や雪道を走らないからいらない」と見向きもしなかった。ところが21世紀になると、欧州でこれらコンパクトSUVの人気が少しずつ盛り上がっていった。
欧州で新たな魅力が発見されたSUV
当時の欧州では、環境問題が深刻になったことを受けて、以前ほどハイスピードでかっ飛ばすことが少なくなっていた。となると、SUVのように背が高いクルマでも、空気抵抗や走行安定性などのデメリットが出にくい。
むしろシートが高めなので乗り降りしやすく、目線が高いので運転しやすいなど、メリットが多かった。しかもデザインは、セダンやハッチバックよりフレッシュで遊び心にあふれていた。
SUVを悪路走破用という機能で考えていた日本人に対して、欧州人はファッショナブルで使いやすい新種として評価したのだ。そこに登場したのが日産「デュアリス(欧州名キャシュカイ)」、そして「ジューク」だった。