レノボ・ジャパンは21日、ゲーミングPCのラインナップを刷新と、新ブランド「Legion」の国内展開を発表した。これに合わせて記者説明会を開催し、「Legion」ブランド誕生の背景や新製品の紹介を行った。

「Legion」でゲーミング市場に攻め込む

レノボ・ジャパン コンシューマ製品事業部 プロダクトマネージャーの藤井宏明氏

まずはレノボ・ジャパン コンシューマ製品事業部 プロダクトマネージャーの藤井宏明氏が新ゲーミングブランド「Legion」について説明。レノボではこれまで、ゲーミングPCとして「ideacentre Y」シリーズ(デスクトップPC)、「ideapad Y」シリーズ(ノートPC)を展開してきた。ただ、海外も含めて担当者から「ゲーミングPCと分かりにくい」という声が上がっていた。「レノボのゲーミングといえば」というブランドとして「Legion」が生まれたという。

Lenovoのゲーミングブランドは「Legion」に。ただし製品だけでなくゲーミングに対する取り組みとなるという

海外ではメインストリーム向けの「Legion Y520」と上位モデルの「Legion Y720」が発表済みだが、国内では第1弾として「Legion Y520」を投入する。今後はデスクトップPCも「Legion」ブランドに統合されるとしている。また、単に製品のサブブランドとしての名称にとどまらず、ゲームイベントに「Legion」の名称を積極的に利用し、レノボゲーミングへの取り組みの総称として利用する方針だ。

製品ポートフォリオも拡充

2015年のゲーミングPC再参入時は、ある程度モデルを絞り込んで展開してきたが、今回に加えて、2月8日に発表した「ideacentre AIO Y910」によって、ポートフォリオも充実してきた。藤井氏はこれをベースとして「日本市場でも本気でゲーミングPC市場を掘り起こしたい」と意気込みを示した。

ゲーミングデスクトップは今回の発表で4シリーズ構成となる

ゲーミングノートブックは今回の発表で3シリーズ構成となる

続いて、具体的な製品紹介となった。初めに登場したのは、27型ディスプレイを搭載したオールインワンPC「ideacentre AIO Y910」。AIOというとノートPC向けプロセッサを採用したものが多いが、「ideacentre AIO Y910」ではCPUもグラフィックスもデスクトップPC向けモデルを搭載した。

ideacentre AIO Y910の特徴。オールインワンながらデスクトップゲーミングPC並の性能を実現

ゲーミングPCやマザーボードではよく使われているKiller Ethernet E2400を採用。今後も採用製品を増やすという

ディスプレイのスタンド部分に380Wの電源ユニットを埋め込んだ点が大きな特長で、これにより堅牢性を確保するほか、デスクトップPC向けのプロセッサを採用しても巨大なACアダプタを必要とせずに動作する。また、ゲーミングPCではお馴染みのKiller Ethernet E2400の搭載などかなりの力作となっている。

収納式のwebカムを搭載するほか、左にヘッドセットを引っ掛ける収納式のクレードルを用意

ideacentre AIO Y910

ideacentre AIO Y910を分解した様子。中央に見えるのが380Wの電源で、これで本体を物理的に安定させるとともに、ゲーミングPCに必要な電力を供給する

本体の左側はストレージ。上に見えるのがNVMe N.2 SSD。下に手に持っているのが1TB HDDで速度と容量を両立させている

本体の右側。上に見えるのはSO-DIMM。右に手に持っているのがビデオカード(製品版ではGeForce GTX1080)。つまり、デスクトップPCをAIOにしたのがAIO Y910の特徴となる

エントリー向けの「Lenovo Legion Y520」とフラグシップ「Lenovo ideapad Y910」

レノボ・ジャパン コンシューマ製品事業部 ノートブック製品担当の三島達夫氏

続いては、レノボ・ジャパン コンシューマ製品事業部 ノートブック製品担当の三島達夫氏が、ノートPC新製品を紹介した。「Lenovo Legion Y520」は15.6型のメインストリーム向けモデルで、グラフィックスにNVIDIA GeForce 1050/1050Tiを搭載する。

今回の発表では唯一のLegionの名を冠するLegion Y520。ゲーミング入門的なスペックだ

Lenovo Legion Y520の特徴。GeForce GTX 1050/1050Tiでゲームに対して対応。25.8mmで2.4kgというのも「ゲーミングノートとしては薄型軽量」

価格を抑えたモデルながらも、独自ユーティリティの「Lenovo Nerve Sense」により、ファンのコントロールやネットワーク設定、ゲームプレイ中のスライドパッドやWindowsキーの誤動作防止設定などが行える。

LenovoゲーミングPCの特徴はソフトウェア。Y520はLenovo Nerve SenseでLANの優先度や不必要なキー、タッチパッドの動作を制御できる

外見図。出張時に宿でゲームという使い方もできるとアピールしていた

一方の「Lenovo ideapad Y910」は17.3型のフラグシップモデルとなる。CPUにオーバークロックに対応したIntel Core i7-6820HK、グラフィックスにNVIDIA GeForce GTX 1070を搭載する。ボタン1つでオーバークロックが可能な「Lenovo OneKeyターボキー」や、ディスプレイはNVIDIAのディスプレイ表示技術「G-SYNC」に対応するなど、上位モデルならではの機能を備える。

オーバークロックにも対応するideapad Y910。レノボ製のメカニカルキーボードやKiller LANなどハイエンドノートにふさわしい装備となっている

ideapad Y910はオーバークロック対応CPUとGeForce GTX 1070&G-Sync対応液晶、メカニカルキーボードとかなりの高スペック

ワンタッチオーバークロックとRAID0対応PCIe SSD、Killer LANにも対応している

キーボードは独自のメカニカルスイッチを採用したもので、荷重が62.5gとやや重めだが、これはワールドワイドにおけるゲーミング市場を想定しているという。キーボードの左側にマクロキーを配置するほか、ユーティリティの「Lenovo Magic Y Key」からキーアサインの変更やすべてのキーにマクロを設定できる。

ノートブックながらメカニカルキースイッチを搭載。ただし日本人の好みからするとやや重めの荷重となっている

ゲーミングPCらしくフルイルミネーションで、全キーがマクロ対応という特徴を持っている

全てのキーにマクロを設定可能なLenovo Magic Y Keyを搭載。プロファイルは3パターン保存できる

Y520に搭載されているLenovo Nerve Senseよりも機能が増えてLenove Nerve Centrerと名称が異なっている

東京ヴェルディのOverwatchメンバー+ヴェルディ君が登場

日本eスポーツリーグ(JeSL)代表の筧誠一郎氏

今回はゲーミングPCの発表会ということで、レノボが力を入れるe-Sports関係のゲストも登壇した。まず、日本eスポーツリーグを企画している日本e-Sportsリーグ代表の筧氏がその概要を紹介した。

日本eスポーツリーグでは、全国にe-Sportsのチームを立ち上げ、業界の活性化を狙っている。現在は5都市6チームが発足しており、これらのチームで2016Winterリーグを開催した。リーグ戦は年2回を予定し、すでに2017Summerの予選も行われているという。また、各地方都市で支部を設立し、コミュニティイベントやゲーム大会を開催しているとのことで、2年後には全都道府県でe-Sportsチームが登場する見込みだという。

日本eスポーツリーグは各地に支部とチームを設立。最終的には都道府県代表のリーグに発展させる事を考えている

2016Winter時点でのリーグ参加チームと(主な)スポンサー。レノボは東京ヴェルディのスポンサードをしている

2016Winterリーグにおいて、総合で準優勝、「Overwatch」部門で優勝という好成績を挙げたのが、レノボがスポンサードする「東京ヴェルディ e-Sportsチーム」だ。チーム名をみて分かるとおり、プロサッカーチームの草分けである「東京ヴェルディ1969フットボールクラブ」のe-Sports部門となる。

東京ヴェルディは日本初のプロスポーツチームが設立したプロeスポーツチームだ。ヴェルディファミリーの一員として盛り上げるという

海外ではドイツの「シャルケ04」やスペインの「バレンシアCF」といったプロサッカーチームが、e-Sportsのプロチームを立ち上げているが、日本国内でいち早く参入したのが「東京ヴェルディ e-Sportsチーム」だ。2016Winterは総合で準優勝となったが、Overwatch部門に限れば、シーズン中ポイントを奪われない完全勝利となっており、2017Summerの活躍にも期待されている。

東京ヴェルディのeスポーツは3部門あり、PCゲームとしてはOverwatch部門がある。2016Winterでは負けなしと大活躍を見せた

今回は「Overwatch」部門のメンバーが、東京ヴェルディのチームマスコットのヴェルディ君とともに登場。チーム代表は「(練習用として提供されいてた)LenovoのゲーミングPCはスリムでコンパクトかつ安定動作で非常に役立った。来節に向けて2連覇かつ総合優勝も目指したい」とコメント。東京ヴェルディも25日のJリーグ2017年シーズンの開始と合わせて、e-Sports部門も連携しつつファンにアピールしたいという。

ゲーミングPCの発表会ということで登壇した東京ヴェルディ eスポーツチームのoverwatch部門メンバー。ユニフォームが上のスライドと異なるのは、メンバーが着ているのが2017年シーズンの東京ヴェルディの新デザインのため

東京ヴェルディの意気込みを語るヴェルディ君……ではなく、発表会後のおちゃらけ