多忙を極める毎日を過ごしていると集中力が低下し、どうしても仕事でのパフォーマンスが落ちてしまうときがある。仕方のないことではあるが、ちょっとした工夫を重ねておけばこういった状況を回避できるかもしれない。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「脳の活力を引き出す方法」にまつわる記事が掲載された。食生活やライフスタイルを少し見直すだけで、脳の健康状態は明らかに変わるようだ。
私たちが集中していないときは、脳のスイッチが切れた状態になっている。この状態が長く続くと老化が進んだり、若年での認知症発症につながったりする可能性があることが判明している。
すなわち、集中力を高めて脳を「オン」にしておくことが肝要なのだが、食べる物とライフスタイルを少し変えると、わずか1週間で「脳力」を高められるという。栄養士のエイミー・モリス氏がそのための秘訣を披露しているので下記にまとめた。
毎日朝食を食べる
毎日朝食を食べることによって短期記憶力が向上し、集中力の持続時間が伸びる。朝食を食べている学生は、そうでない学生よりも優れたパフォーマンスを見せるという報告もある。たんぱく質、炭水化物、脂質という三大栄養素がきちんと含まれているのが健康的な朝食で、あまり加工されていないものがよい。
コーヒーではなく抹茶を飲む
モリス氏は、朝にはコーヒーではなく抹茶を飲もうと薦める。コーヒー同様、抹茶にもカフェインが含まれており集中力を高めてくれる。それだけでなく、コーヒーにはない抗酸化物質も含まれており、細胞とDNAが傷つくのを防ぐ効果がある。さらに抹茶にはアミノ酸・L-テアニンも含まれており、いらだちといったカフェインの負の要因を除去する機能もある。
ナッツを食べる
ナッツや種子類はビタミンEの源で、年を重ねても認知力の低下を抑える働きがあるとも言われている。2012年に発表された研究によると、特にクルミは加齢に関係する脳の機能低下を抑える効能がある。種、ピーカン、カシューナッツ、アーモンドなどを少しすり、朝食のシリアルにふりかけるのもお薦めだ。
もっと水を飲む
身体の水不足は脳の水不足につながる。そうなると集中力に欠けるようになり、頭痛やうつ病、健忘症の原因になる。最良の水は、化学物質や汚染物質を可能な限り除去した純粋な水だ。欧州食品安全機関(EFSA)は、男性ならば一日に2.5リットル、女性ならば2リットルの水を飲むことを推奨している。多くの運動をしたり、激しく身体を動かす仕事をしていたりしたら、さらに多くの水を飲む必要がある。
油の多い魚を食べる
オメガ3魚油の摂取によって、集中力が高まることが複数の研究で報告されている。2011年に発表された研究は、サーモンやシーフードに含まれているオメガ3脂肪酸が記憶機能を15%上昇させるとしている。オメガ3脂肪酸の摂取は認知症と脳卒中のリスクを低減し、知力減退を抑制するとも言われている。
瞑想をする
集中的に瞑想をする人は、世俗的な仕事であっても集中力を維持できることが最近の研究で判明した。ノースカロライナ大学の研究によると、一日20分、週に4日間瞑想をすると認識能力が向上するという。瞑想でストレスを発散させ、幸福感を高めることも可能とのこと。
夜ぐっすり眠る
睡眠障害のある人は注意力や集中力に欠ける。睡眠によって細胞は活性化し、脳から不要なものを除去し、学習と記憶を高める。一日7~8時間の睡眠が理想と覚えておこう。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。