口での呼吸はデメリットだらけ!

呼吸は生物が生きていくうえで必須の行為だ。私たちも毎日、当然のように呼吸をしている。通常であれば、鼻から通じて呼吸をする「鼻呼吸」が自然な形であるが、近年はさまざまな原因によって口呼吸を行う人が増えてきているという。そしてこの口呼吸はさまざまな"弊害"を招くのだ。

今回はM.I.H.O.矯正歯科クリニックの今村美穂医師に「口呼吸のデメリット」について伺った。

口呼吸になる原因

本来、私たちは鼻からの空気が不十分なときに口から呼吸をする。すなわち口呼吸は鼻呼吸の補填(ほてん)要員的な存在なのだ。ただ、「鼻が詰まっている」「口が閉じにくい」などの状態が続くと、知らず知らずのうちに口呼吸へとシフトし、それが常態化するようになる。そのほか、鼻の病気をきっかけに口呼吸の割合が高まり、「口呼吸のほうが楽だ」と口から空気を出し入れするのが癖になってそのまま定着してしまうパターンなどもある。

「お口のトラブル」につながる口呼吸

呼吸をする場所が鼻から口になったとしても、一見すると私たちに大した影響を及ぼさないように思える。だが、口呼吸は私たちに実に多くの被害をもたらしているのだ。まずは「お口のトラブル編」を紹介しよう。

口臭がきつくなる……呼吸のために口をぽかんと開けている時間が増えると、その分だけ口腔(こうくう)内が乾燥しやすくなる。そうなると唾液が分泌されづらくなるが、唾液は口の中をきれいにする効果(自浄作用)がある。この唾液による殺菌作用がなくなると、食べかすや細菌のかすで形成される舌苔(ぜったい)が厚くなり、結果として口臭が強くなる。

虫歯や歯周病になりやすくなる……上述の口臭と関連しているが、口腔内に細菌が増えるということは、それだけ虫歯や歯周病になりやすくなる。特に近年、歯周病を患っていると糖尿病や心疾患のリスクが高まると指摘されている。口呼吸が原因で動脈硬化を招く可能性もゼロではないのだ。