「瀧川ありさ ワンマンライブツアー2017 "at film."」が4日、東京・渋谷のduo MUSIC EEXCHANGEにて開催された。シンガーソングライターとして注目を浴びている瀧川ありさが、初めてリリースしたアルバムを引っ提げてツアー公演に臨んだ。1月から始まったツアーも、福岡、愛知、大阪を終えて、ラストの東京公演までたどり着いた。会場に集まったファンと一緒に作り上げた最終公演で、彼女は何を感じたのか。ライブ模様をレポートする。

「瀧川ありさ ワンマンライブツアー2017 "at film."」の最終公演

オールスタンディングのフロアを埋めつくすほどのオーディエンスがスタンバイしていた。彼らの様子は期待であふれている。今日はシンガーソングライター・瀧川ありさのツアーファイナル公演日。彼女の登場を待ちわびるファンの反応から、早くも興奮が高まる予感がする。定刻になると同時に照明が落とされ、オーディエンス全員のハンドクラップが場内に響き渡った。ステージを青いライトが照らし、会場に流れるSE(サウンドエフェクト)に導かれるようにバンドメンバーと瀧川が姿を現し、ライブがスタートした。

EDMのイントロが流れると、早くもオーディエンスの期待感が高まった。オープニングナンバー「BOY’S CHRONICLE」を、瀧川が自らギターを弾きながら重量感のある歌声で観客の鼓膜を揺らす。

ステージが照らされると、瀧川の笑顔が浮かび上がる。その時の表情は楽しそう……いや、嬉しそうな面持ちだ。どうやら、ツアーファイナルを心待ちにしていたのは、会場に集まるファンだけではないようだった。

2曲目の「アイセイハローのすべて」に進むと、瀧川自らのハンドクラップでオーディエンスをあおり、序盤とは思えない熱気を生みだす。今回の会場はフロアとステージの距離がとても近く、彼女だけでなくバンドメンバーとのアンサンブルを間近で体感できた。

MCをはさんで、アコースティックギターに持ち変えた瀧川は「色褪せない瞳」を熱唱する。先ほどの雰囲気から一転させ、会場全体の気持ちが一つにまとまっていく光景が伺えた。さらに「プラネタリウム」では、ステージから歌声を伝えようとする瀧川の柔らかな声音がヒシヒシと肌に伝わってくる。

ここでマイクを手に持った瀧川が、ステージのサイドまで移動し「anything」をファンの目の前で歌う。それぞれの歌詞から伝わってくる彼女の気持ち。その想いに自然と気づいたのか、オーディエンスは口を閉ざして静観していた。

続けて、応援ソング「Again」でオーディエンスの意識を引き込んでいく。歌い終わった後のMCでは、「1対1の気持ちで歌っています」とツアーファイナルのステージに向けての意気込みも。相手に向けて放つ彼女の歌声に耳を傾けるオーディエンスの感想は人それぞれかもしれない。この場に集まった観客は瀧川ありさの心胸をどのように受け取ったのだろうか。

再びギターを手に取り、過去のメモリーを振り返る「日々モノクローム」を奏でた。懐かしい思い出がよみがえる曲調と歌詞に込められた意味合いに、共感した人も少なくなかったことだろう。その後「17番地」「Sugar」と2曲続けて歌い上げただけでなく、サマーソング「夏の花」では、フロアを活気立たせて大歓声を巻き起こした。

ここまでは、アルバム「at film.」の収録曲をメインにセットリストを組んできたが、ここで瀧川にとってあこがれの存在である松任谷由実「ノーサイド」をカバーして披露する。幼少期から松任谷由実の曲を聞いて育った瀧川にとって、思い入れのある一曲。彼女の持つグロッシーボイスとシンクロしたことで、会場に集まるオーディエンス全員を聞き惚れさせた。

後半戦へ突入すると「Season」「さよならのゆくえ」「Goodbye,I love you」とキラーチューンを放つ。先ほどまでの静けさを跳ね飛ばすように、オーディエンスのハンドクラップと掛け声に一体感が生まれた。間奏中に「今日はホントにファイナルです。寂しいけど……盛り上がれますかー!」と瀧川がシャウトすると、オーディエンスは大声で応え、大熱狂の展開へ進展する。

感謝の気持ちを込めて、最後に瀧川は「花束」をセレクトした。ツアーのファイナルに情感を込めて、会場に集まるすべての人へ届けようとする歌声に、割れんばかりの拍手がこだまする。まさに、ツアーの最後を飾るにふさわしい場景だった。

しかし、会場の熱気が収まることはなくアンコールへと進み、[「ONE FOR YOU」と爽快なアッパーチューンでライブの勢いを再加速させる。瀧川が会場の向こうの空に向かって指をさすと、フロアにいる全員もそれに倣ったかのような情景。同じ時間を共に過ごした瀧川とファンとの絆が結ばれた瞬間だ。瀧川は「ソロで活動する自分にとって、皆さんの声援や愛情が支えになっています」と明かし、ラストに「Journey」「Summer of Love」と高揚感を作りだしてライブに幕を下ろした。

瀧川のライブの魅力は、会場にいる全員の気持ちが一つになって、楽しさを共有するところ。彼女だけでなくファンも一緒にライブを楽しみたいという想いが相まって、お互いが最高の時間を過ごせるのかもしれない。そして何よりも、瀧川自身の楽しそうな笑顔こそが、最高潮の盛り上がりにつながる要素になっているのだと思う。

■セットリスト

M1. BOY'S CHRONICLE
M2. アイセイハローのすべて
M3. 色褪せない瞳
M4. プラネタリウム
M5. anything
M6. Again
M7. 日々モノクローム
M8. 17番地
M9. Sugar
M10. 夏の花
M11. ノーサイド
M12. Season
M13. さよならのゆくえ
M14. Goodbye,I love you
M15. 花束
En1. ONE FOR YOU
En2. Journey
En3. Summer of Love