NHKは2月17日、子ども番組『おかあさんといっしょ』(Eテレ)のうたのお兄さんが交代すると発表。2008年から9年間にわたって番組で活躍してきた横山だいすけお兄さんが卒業することになった。4月からは、12代目として花田ゆういちろうお兄さんが出演する。
横山だいすけさんは、2008年4月から歴代最長となる9年間にわたり、同番組でうたのお兄さんを務めてきた。3月30日の放送を最後に、新旧交代となる。
高校生の時からうたのお兄さんになることが夢だったという横山さん。「9年間はいろんなことがありましたが、一緒に走ってきた仲間や子どもたちに素敵なものをいただいた。本当にありがとうございました」と言葉を寄せた。
卒業は、横山さん自身が決断したという。「1年1年、命がけでやってきた。去年のファミリーコンサートの中で、あつこお姉さんと子どもたちが笑いあって歌っている姿を近くから見て、心が通じ合っていると、安心した気持ちになった」と横山さん。「『Say! good-bye~明日をみつめて~』を歌っている時に『いつかは終わりがくる』と思い、卒業することを決めました」と、決断に至るまでの経緯を語った。
また9年間の中で、印象に残っている出来事として、2011年に起きた東日本大震災に触れ、「この番組では、子どもたちを近しい存在として"お友達"と呼んでいる。そんな子どもたちがストレスを抱えていたり、悩んでいたりする様子を見て、何ができるかスタッフと話し合いました」と、当時の状況を振り返った。
震災後は、被災地にも足を運んで歌を届けた横山さん。当時歌った曲「ぼよよん行進曲」にはとりわけ思い入れが深かったようで、「詩を読み込んで言葉を届けることを意識して、子どもたちの心が日常に戻れるように、魂を込めて歌った。その時の会場の様子を見て、歌は人の心にちゃんと届くのだと感じ、これからも、ひとつひとつの歌を大切にしていこうと思った」と語った。
会見には、小野あつこお姉さんも出席し、時に涙ぐみながら、「だいすけお兄さんが子どもたちと接している姿を見て、私には子どもたちに何ができるのか、何が伝えられるのか考えるようになりました。だいすけお兄さんから教えてもらったことを、花田さんにも伝えていきたい」と、横山さんへの思いを述べた。
会見の最後、報道陣に向かって、「番組に関わっている全ての人が、この番組が大好きで、遅くまで残って仕事をしたり、時には激しく議論をしたりして、子どもたちの笑顔のためにがんばっています。これからも、『おかあさんといっしょ』をよろしくお願いします」と呼びかけた横山さん。今後の活動は未定とのことだが、子ども向けのミュージカルなどで、子どものための歌を歌い続けていきたいという。
12代目のうたのお兄さんとなる、花田ゆういちろうさんは、国立音楽大学(声楽専攻)を卒業し、学生時代に児童合唱団の指導を行うなど、子どもの歌に親しんできたという。「あつこお姉さんの優しいフォローを受けながら、これまでの歴史を受け継いでいきたい。プレッシャーはありますが、自分なりのうたのお兄さんを深めていきたい」と抱負を語っている。