帝国データバンクは2月14日、2017年度の賃金動向に関する企業意識調査の結果を発表した。調査期間は1月18日~31日、有効回答企業数は1万195社。

賃金改善の理由、「労働力の定着・確保」がトップ

2017年度に正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある」と見込む企業は51.2%で、前年度(2016年度見込み)を4.9ポイント上回った。賃金改善を見込む企業の増加は2年ぶりで、調査開始以降で初めて5割を超え、過去最高を記録した。一方、「ない」企業は前年度比1.2ポイント減の22.5%だった。

賃金改善が「ある」とした企業を業界別にみると、「製造」が最も高く54.7%。以下、「建設」が53.3%、「サービス」が52.4%、「運輸・倉庫」が51.2%と続き、上位4業界は前年度から変化はなかった。

賃金改善の具体的内容は、ベースアップが前年度比4.8ポイント増の40.3%、賞与(一時金)が同2.8ポイント増の28.8%と、ベア・賞与とも過去最高を更新した。

2017年度の賃金改善見込みの有無~規模・業界・従業員別~(出典:帝国データバンクWebサイト)

賃金改善がある企業に改善する理由を聞くと、「労働力の定着・確保」が過去最高の76.2%でトップ。2位には「自社の業績拡大」が44.9%で続いたが、同項を理由にあげた企業は4年連続で減少した。また「同業他社の賃金動向」は4年連続で増加し、過去最高の21.4%を記録した。

一方、改善しない理由をみると、「自社の業績低迷」が60.0%と3年連続で6割台となったが、前年度より1.5ポイント減少。「同業他社の賃金動向」は21.8%と2年連続で2割を超えた。

賃金を改善する理由(複数回答)

賃金を改善しない理由(複数回答)

2017年度の総人件費については、企業の66.4%が「2016年度より増加する」と回答した。総人件費は総額で180兆335億円で、前年より約4兆4,000億円(平均2.61%)増加、そのうち従業員の給与や賞与は総額で141兆4,824億円で、前年より約3兆5,000億円増加すると試算している。

同社は「企業の賃金改善の背景は、人手不足が長期化する中で労働力の定着・確保を第一に捉えて実施する傾向が一段と強まっている」と分析している。