トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)のグローバル販売が累計1,000万台を突破したと発表した。発売当時は世間的になじみのないクルマだったHVだが、世界初の量産HV「プリウス」など、トヨタ車が市場の拡大に果たした役割は大きい。
累計400万台に迫るプリウス
トヨタ初のHVは、1997年8月に発売した商用車「コースターハイブリッドEV」だ。同年12月には、世界初となる量産ハイブリッド乗用車のプリウスを発売。10年後の2007年にはHVのグローバル販売で累計100万台を達成し、それから10年で同1,000万台を突破した。車種別の累計販売台数を見ると、プリウスがグローバルで398万4,600台(うち日本が181万2,800台)、「アクア(海外ではプリウスC)」が同138万100台(同115万4,500台)でトップツーだ。
トヨタ取締役会長で初代プリウスの開発責任者を務めた内山田竹志氏によると、プリウスの発売当時、「ハイブリッド」という言葉は世間的になじみのないもので、乗っている人は「オタク」と呼ばれたほどだったという。グローバル販売が累計1,000万台を突破したHVについて同氏は、「“普通のクルマ”になるまで普及することができた」とコメントしている。
トヨタのHV販売台数を見ると、ここ数年、日本では年間60~70万台の規模を維持している。欧州は右肩上がりだ。米国では販売台数が落ちてきているが、これには同国の自動車需要がセダン系からトラック系(SUVを含む)に移行していることも関係しているのだろう。
多様化するエコカー、トヨタの戦略は
HVの累計1,000万台は「通過点」とするトヨタ。各種エコカー開発に必要な要素技術を含み、様々な燃料と組み合わせることができるハイブリッド技術を「21世紀の環境コア技術」と位置づけ、今後もエコカーの更なるラインナップ拡充に取り組む方針を示す。
HVの次には充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)、その次には電気だけで走る電気自動車(EV)の普及が進むとの見方がある中で、トヨタは今後も、エコカーメーカーとして先駆的なポジションを維持できるだろうか。PHVに関しては、近く発売となる新型「プリウスPHV」が試金石となるだろう。その先の話としては、トヨタがデンソーらグループ企業と立ち上げたEVベンチャーがどんなクルマを世に問うのかも気になるところ。そして将来的には、トヨタが「究極のエコカー」と位置づける燃料電池車(FCV)を、実際に普及させられるかどうかが焦点となりそうだ。