アプリが主役のアプリケーション・エコノミーへの変革を呼びかけるCA Technologies(CA)。そこで重要になるのがDevOpsだ。開発と運用の密なコラボレーションによりアプリ開発サイクルを高速化し、改善していくというものだが、メリットが大きいにも関わらず、何らかの形で導入している企業は3分の1にとどまる。
そこでCAは、DevOpsソリューションの提供にとどまらず、導入を組織レベルから促進するため、ワークショップを開催。このワークショップを編み出したCAのChris Rowett氏(アプリケーション・デリバリー部門テクニカルセールス担当バイスプレジデント)は、「これからは、ソフトウェアがブランドになる」と言い切る。Rowett氏、そして日本CAでDevOpsビジネス事業ディレクターを務めるMatty Kaffeman氏にDevOps導入の障害や最新動向、今後の強化策について聞いた。
--DevOpsといわれて久しいが、普及率は低い。普及を阻害する要因は?
Rowett氏:最初の問題として、組織的な問題がある。DevOpsはこれまでの手法を変えることを意味するが、企業にはこれまで何十年の歴史から確立された作業の方法や手法がある。やり方や社風を変えることは簡単ではなく、構造から変化させる必要がある。これにより、さまざまなチームがコラボレーションできる環境を構築できる。このように、組織が障害になっていることが多い。有効なのはシニアレベルのリーダーが自ら変化に取り組むことだ。
組織を整えたら、次はロードマップが必要だ。トランスフォーメーションとは、組織がこれまでの構造やプロセスから新しい世界に移ることを意味する。世界の大企業のCIOをはじめ、多数のシニアレベルのリーダーは共通して、変化しなければならないという課題意識を持っている。同時に、最善の方法をアドバイスしてくれる人を求めている。そこで、CAは「Future State Workshop」というワークショップを提供することにした。これまでCAがトランスフォーメーションを支援した数百社との体験に基づくもので、これを利用して企業のロードマップ構築を支援する。デジタルトランスフォーメーションを進めるにあたって、ロードマップは地図のような役割を果たすもので、これなしには実現不可能といっても過言ではない。
Future State Workshopは約2年前にスタートし、すでに500社以上の企業に利用してもらった。日本でも提供している。
新しいソフトウェアを開発しようとした時、開発から実装、提供を3カ月で行うことができる企業はわずか8%に止まる。これでは変化のスピードについていけない。ウォーターフォール型の現在の開発手法では限界があるのは明らかだ。
--DevOpsの普及において、日本独特の阻害要因はあるか?(日本はデジタル・トランスフォーメーションが企業に与えるKPIであるBISのスコアが、100点満点中47にとどまっている)
Kaffeman氏: 日本企業は伝統的に縦割り構造を持ち、Dev(開発チーム)とOps(運用チーム)が分離している。チーム間のコラボレーションと組織的な変更という課題は他の国よりも大きいかもしれない。時には、最初から全て作り直す必要があることもある。
もう一つ、日本市場固有のトレンドをあげると、日本は品質重視の傾向が強く、顧客やユーザーの要求レベルが高い。日本企業は、(これまで物理的に提供してきた)高いサービス品質をデジタル化する必要がある。20年前なら銀行に行って用を済ませていたが、10年前からオンラインバンキングになり、現在ではモバイルバンキングになっている。ここでは使い勝手が良く、高品質のアプリケーションが必要になる。CAは幅広く深い技術を持っており、日本企業を支援できる。
海外から日本に来た人は誰もが日本のサービスの質の高さを賞賛している。アプリでも同じレベルのサービスを提供できるかが問われている。ここでは、モニタリングして、ユーザーのフィードバックに合わせて変更していくDevOpsが重要になる。
実際、日本企業の中にはDevOpsやデジタルトランスフォーメーションの必要性の理解が深まっており、イノベーションに繋げるところをサポートしてほしいという声もいただいている。