日々の健康のため、毎日の睡眠は必須だ。ある程度決まった時間に床に就き、決まった時間に起床するという規則正しい生活リズムが健康に寄与していることには異論がないだろう。
ただ、なかなか寝付けなかったり、仕事のことなどが気になったりして、気がつけばベッドで30分、1時間と眠れずに過ごしている人も存在する。最近の調査によると、悩みが不眠症の最大の原因であり、消灯後も53%の人がさまざまな物事に悩み、考えることで寝付きにくくなっているという。
このように睡眠に悩みを抱えている人たちは、就寝前の食事を見直してみるといいかもしれない。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「良い睡眠のために食べたい物」に関するコラムが掲載された。本稿では睡眠の専門家が推奨する快眠のために食べたい物と、逆に快眠を妨げる物を紹介しよう。
不眠症に悩む人は少なくないが、睡眠の専門家らは寝る前の食事が睡眠に影響を及ぼしている可能性を指摘している「The Good Sleep Guide」の著者で睡眠のエキスパートであるサミー・マルゴ氏は、「良い睡眠」のために就寝前に以下のような食材を食べているという。
バナナ
バナナにはマグネシウムや、筋肉をほぐし睡眠に有益なホルモンであるセロトニンとメラトニンが豊富に含まれている。
はちみつ
はちみつを食べるとグルコースが摂取できる。このグルコースは脳の覚醒を刺激する化学物質として知られている「オレキシン」の働きを遮断してくれる。食べる量はティースプーン1杯分で十分だ。
アーモンド
アーモンドにはトリプトファンとマグネシウムが含まれている。これらは筋肉と神経機能を低下させ、心臓のリズムも落ち着かせてくれる。また、トリプトファンはセロトニンの原材料にもなっている。
この他では、メラトニンが豊富に含まれているオーツやトリプトファンを多く含有する七面鳥もおすすめだという。
NGな飲食物
一方で、逆に就寝前に食べてはいけない物も紹介しておこう。
アルコール
「寝酒は眠気を誘発する」と考え、眠れないときにアルコールを流し込んだ経験がある人もいるかもしれない。だが、飲み過ぎると深い睡眠ができないうえ、翌日は二日酔いになるというデメリットもある。
辛い食べ物
香辛料の効いた辛い食べ物は消化不良を起こす可能性があり、チリペッパーに含まれているカプサイシンは体温を変化させて睡眠に悪影響を与えると考えられている。
脂肪の多い食べ物
脂肪の多い物を食べると胃酸が食道に逆流し、胸やけして安眠を妨げるという。ハンバーガーやファストフード、アイスクリームといったフードは寝る前に食べないように。
コーヒー
カフェインは摂取から10時間経った後でも、体内で25%も残存している。仕事中は居眠りから私たちを守ってくれるコーヒーだが、遅い時間帯に飲むことは安眠の妨げになるようだ。
チーズ
チーズと加工肉にはアミノ酸の一種・チラミンが豊富に含まれている。チラミンは脳に覚醒を命じる化学物質を放出するため、避けたほうがよいとのこと。
マルゴ氏は「特定の食べ物や飲み物は私たちの体を温めてくれる一方で、辛い物やカフェイン、脂肪とたんぱく質を多く含む物は私たちの睡眠を台無しにする可能性があります」と話す。
睡眠トラブルを抱えている人は、さっそくマルゴ氏推薦の食べ物を試してみてはいかがだろうか。ただし、何日も寝られないような状態が続いている人は、一度医療機関を受診した方がよいだろう。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。