2016年11月30日に5thアルバム『GENETICA』をリリースし、2017年1月8日大阪・ 梅田シャングリラから始まった歌手・ELISAのライブツアーが、同月15日東京・代官山UNITにてファイナルを迎えた。同盤に収録されている楽曲を持ち前の美声で響かせ、2017年を盛り上げるにふさわしい展開でファンを魅了していく。彼女がツアーファイナルで届けた歌声とこれからのアーティスト活動に向けて意気込む姿をレポートしたい。
筆者と彼女との出会いは2016年6月25日に代官山LOOPで開かれた「ELISA Live 2016 "ANICHRO"」だった。当時はアルバム『ANICHRO』を引っ提げてのライブということもあり、ジャケット写真に合わせて漆黒の衣装をまとっていた。"ELISA=黒"という印象が残っていたが、今回の「ELISA LIVE 2017 GENETICA」では白い衣装を着たELISAがバンドメンバーと共にステージへ現れた。
オープニングナンバー「ex:tella」を皮切りに、ELISAの歌声がフロアにいるオーディエンスの鼓膜を揺らす。荘厳なサウンドに力強い彼女のファルセットが観客の耳元まで届いた。
「東京ファイナルいくよー!」とシャウトしたELISAは、続けて「ORIGIN OF LOVE」「No pain No gain」と立て続けにアッパーな楽曲を披露し、ライブの勢いを一気に加速させる。オペラやソプラノの曲調を歌い上げる彼女だからこそ、幅広い世界を作り出すことができ、足を運ぶたびに違ったパフォーマンスを楽しめるのかもしれない。
開始早々、真っ先に気づいたこと……それはELISAの歌声でも立ち居振る舞いでもなく、彼女が楽しそうに歌っていることだった。MCでも「ファイナル元気に行こうよ!」と観客をリードして話す姿からも楽しさ……いや、嬉しさが伝わってくる。彼女がステージから見せる笑顔。そこには何か意味が込められているかのように感じた。
MCを挟んで「機械仕掛けのシンデレラ」「STONE CIRCLE」が続く。ファンにとっては懐かしい楽曲群だ。そこから「そばにいるよ」「REALISM」と、アップテンポな楽曲で会場をヒートアップさせる。
その後、クレオパトラをイメージしたゴールドの衣装へチェンジしたELISAが「Absolute Perfection」「Ark」と二曲続けて熱唱。彼女自身のテンションが上昇している様子が窺える。そこから一転し、バラードナンバーの「the amber moon」「Rain or Shine」「優しい嘘」を透き通った歌声で響かせ、穏やかな雰囲気を生み出した。椅子に座りながら歌うELISAはステージから"聴かせる"をコンセプトに、バンドメンバーたちと織り成すサウンドを繰り出す。
後半戦へ突入すると、「euphoric field」「ebullient future」「God only knows 第3幕」「Dimensional Journey」「グラン・シャリオ」「Real Force」「SCARLET WINGS」「コントレイル」を8曲連続で歌い切り、一気に駆け抜けていった。
ステージから姿を消すELISAだが、会場からはコールがさく裂し、アンコールへと進展する。ライブTシャツに着替えたELISAが「EONIAN -イオニアン-」でしっとりと穏やかな歌でオーディエンスたちをときめかせた。先ほどまでの盛り上がりがウソのように、フロアにいる観客全員が美声を堪能する。オペラ歌手を思わせるELISAの歌う姿に魅力を感じる瞬間だった。
歌い終わったELISAは「デビューして10年目を迎えるにあたって、応援してくれてるファンのみんな、そして携わってくださっている関係者の方々やスタッフに支えてもらっているんだということをあらためて実感しました」と涙ながらに話す。応援してくれる人たちによって自分が支えられているのだと彼女は語り、ツアーファイナルでは「絶対に自分が支えるんだ!」と決意して臨んだと明かした。
その感謝の気持ちを込めてラストナンバー「ありがとう」を目の前にいるファンの元へ送る。最後に見せた笑顔は、歌詞のフレーズに思いを乗せてお礼の言葉をつづっているかのようだ。そして、彼女の気持ちに呼応するかのように会場が一体となって歌う光景は、気持ちが一つになったひと時が表現されていた。
今回のライブを通して、ELISAの決意の表れはファンにどう伝わっただろうか。答えは人それぞれかもしれない。けれども、フロアにいた全員に共通していたこと、それは"ELISAを応援したい"ではないだろうか。ELISAが流した涙の気持ち、その想いを歌声に託してステージから多くの人へ感動を届けてくれると信じて、2017年の活動も楽しみにしたい。
Photography:野島亮佑
セットリスト
M-01 | ex:tella |
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M-02 | ORIGIN OF LOVE |
M-03 | No pain No gain |
M-04 | 機械仕掛けのシンデレラ |
M-05 | STONE CIRCLE |
M-06 | そばにいるよ |
M-07 | REALISM |
M-08 | Absolute Perfection(Interlude) |
M-09 | Absolute Perfection |
M-10 | Ark |
M-11 | the amber moon |
M-12 | Rain or Shine |
M-13 | 優しい嘘 |
M-14 | euphoric field |
M-15 | ebullient future |
M-16 | God only knows 第3幕 |
M-17 | Dimensional Journey |
M-18 | グラン・シャリオ |
M-19 | Real Force |
M-20 | SCARLET WINGS |
M-21 | コントレイル |
En-01 | EONIAN -イオニアン- |
En-02 | ありがとう |