富士重工業(スバル)の自動車販売が好調だ。2016年度は第3四半期までの累計販売台数で過去最高となる78万5800台を達成。前年同期比では7万台以上も伸ばした格好だ。このペースで今期を終え、来期も記録更新を狙いたいスバルだが、同社の今後を左右するのは主要マーケットである米国の動向だ。
通期で初の100万台超は達成確実か
スバルの2016年度第3四半期決算を見ると、売上高は期初からの累計で2兆4279億円、営業利益は同3,068億円となっている。共に過去最高の数字だ。前年同期に比べると、売上高は93億円(0.4%)の増収。円高に振れた為替は減収方向に作用したが、販売台数の増加などによりマイナスの影響を吸収した。営業利益は前年同期と比べて1,290億円(29.6%)の減少となったが、これは為替影響のほか、いわゆるタカタ製エアバッグ問題に起因する品質関連費用などが響いている。
自動車販売が今期も好調に推移しているのは前述の通り。2016年度通期では同社初の100万台超えとなる106万7500台を見通すが、今のペースでいけば達成は難しくなさそうだ。
米国では販売車種のウェイトが重要に
同社の自動車販売を見るうえで、注視すべきは米国市場の動向だ。スバルが今期中に販売するという106万7500台のうち、米国向けは実に66万7400台を占める。ちなみに、地域別に見て次に割合が大きい日本向けの販売見通しは16万1500台だ。
2016年度第3四半期の決算会見に登壇したスバルの高橋充CFOによると、米国全体の自動車販売台数は、2017年度および2018年度も今年度並みの1,700万~1,750万台レベルを維持する見通しだという。巨大な米国市場ではあるが、ピークアウトしたとの見方も出ている。
米国の自動車全需は横ばいでも、需要の中身はセダン系からSUVを含むトラック系に移行しつつある。セダン市場では競争が激化しており、各社が販売促進に使う販売奨励金(インセンティブ)の額も高騰しているという。
新型「インプレッサ」も好調で、「(米国の顧客に)商品を評価してもらえる手応え、自信はある」(高橋氏)とするスバル。今後も米国では販売を伸ばしていけると見ているようだが、競合他社がインセンティブを積み増している状況は無視できないのが現状で、今後も販売費の上昇は続くようだ。
セダン型にこだわって値下げ競争に参戦すると、米国におけるスバルの“稼ぐ力”は低下してしまうわけだが、「アウトバック」、「フォレスター」、「クロストレック」といったスバルのトラック系車種も米国では人気だ。販売量に占めるトラック系車種のウェイトを上げていければ、セダン系で無理な販売競争をせずに済むというのがスバルの強みだろう。