JR北海道は8日、同社の輸送密度200人以上2,000人未満の線区に関して、土木構造物の今後20年間における大規模修繕・更新費用の概算を公表した。

根室本線釧路~根室間や富良野線も輸送密度200人以上2,000人未満の線区

昨年7月末に「持続可能な交通体系のあり方」を発表した後、同社は土木構造物の大規模修繕・更新に関する現地調査を開始した。11月に「当社単独では維持することが困難な線区」を発表した際、輸送密度200人未満の線区における今後20年間の大規模修繕・更新費用を先行して公表。札沼線北海道医療大学~新十津川間は6億円、根室本線富良野~新得間は22億円、留萌本線深川~留萌間は30億円の費用が必要とされた。

今回、輸送密度200人以上2,000人未満の「当社単独では老朽土木構造物の更新を含め『安全な鉄道サービス』を持続的に維持するための費用を確保できない線区」について、今後20年間の大規模修繕・更新費用(概算)を公表。石北本線新旭川~網走間は57億円、釧網本線東釧路~網走間は33億円、根室本線釧路~根室間は30億円、宗谷本線名寄~稚内間は23億円、根室本線滝川~富良野間は11億円、室蘭本線沼ノ端~岩見沢間は7億円、富良野線富良野~旭川間は4億円、日高本線苫小牧~鵡川間は3億円の費用が必要とされた。

8線区合計の大規模修繕・更新費用(概算)は計167億円。さらに車両更新費用も8線区合計で268億円必要(更新車両数は計116両)だという。JR北海道は輸送密度200人以上2,000人未満の線区に関して、経費節減や運賃値上げ、上下分離方式などを軸に、鉄道を維持するしくみに関して地域と相談したいとしていた。

これらの線区は経年80年を超える古い土木構造物も多く、今後は老朽化の進行が本格的に進み、修繕や取替えを必要とするものが一時期に集中すると予想される。「今後数十年に渡り、構造物を使い続けるためには、多額の維持更新費用が必要」「輸送密度の低い線区においては、当社単独では対応できない状況になっている」とJR北海道。老朽土木構造物への対応にあたり、「一時的に巨額な費用や人手・労力が必要となること、および工事に伴う列車への輸送影響を極力回避」しつつ、「本来取替が望ましくても、計画的かつ重点的な修繕での対応を基本」とする考え方を示している。