Microsoftは、Windows 10のUWP (ユニバーサルWindowsプラットフォーム) 化を着実に進めている。次期大型アップデート「Windows 10 Creators Update」では、UWPアプリケーションとして「Windows Defenderセキュリティセンター」を用意。将来的には、「コントロールパネル」を廃止して、各種設定をUWPベースの「設定」に統合する計画だ。
直近のWindows 10 Insider Previewでは、「トラブルシューティング」がUWP化されたので、今回は同ツールについて精査したい。
1月末にリリースされたWindows 10 Insider Preview ビルド15019では、「設定」の <更新とセキュリティ> に <Troubleshoot> が加わった。コントロールパネルのトラブルシューティングツールは24項目を用意しているが、UWP版の同ツールは19項目。これはWindows Media Playerなど枯れたアプリや機能に対するサポートは不要という判断からだろう。
以下にUWP版トラブルシューティングツールの概要を紹介する。括弧内はトラブルシューティングの内容だ。
- Windows Update (Windowsの更新を妨げる問題)
- インターネット接続 (インターネットやWebサイトへの接続に関する問題)
- オーディオを再生する (サウンドの再生に関する問題)
- プリンタ (印刷に関する問題)
- Bluetooth (Bluetoothデバイスの問題)
- Windowsストアアプリ (WindowsストアアプリケーションおよびUWPアプリケーションに関する問題)
- オーディオの録音 (録音機能に関する問題)
- キーボード (キーボード設定に関する問題)
- ネットワークアダプタ (有線および無線LANデバイスの問題)
- ハードウェアとデバイス (各種デバイスの問題)
- ビデオの再生 (動画コンテンツ再生時の問題)
- ブルースクリーン (BSoDの原因と特定)
- プログラムの互換性に関するトラブルシューティング (古いデスクトップアプリ実行時に発生する問題)
- ホームグループ (ホームグループ上のPCおよび共有ファイルに関する問題)
- 共有フォルダー (ネットワーク上の共有フォルダーにアクセスする際の問題)
- 検索とインデックス作成 (インデックス機能およびデータベースに関する問題)
- 着信接続 (着信設定とWindowsファイアウオールに関する設定に起因する問題)
- 電源 (PCの電源設定に関する問題)
- 音声認識 (Cortana利用時のマイクに関する問題)
ただし、現時点でトラブルシューティングツールはUWP化の第一歩を踏み出したに過ぎない。<トラブルシューティングツールの実行> ボタンから起動するのは、デスクトップアプリの同ツールだ。ただし、WinHEC 2015では、既存のWin32/COM APIをWinRT (Windows Runtime) APIへ順次置き換えていくと説明しており、同ツールがUWP化する可能性は非常に高い。
Windows 10 Creators Updateリリースまでの開発期間を鑑みると、UWP化は「Redstone R3 (開発コード名)」に持ち越されるはずだ。このように設定項目や各種機能のUWP化は「常に進化するWindows 10」の現れと言えよう。
ちなみに、Redstone 3以降はChromebookへの対抗策として、UWPアプリケーションのみ実行可能な「Windows 10 Cloud」が投入されると噂されている。Windows RTの再来という意見もあるが、詳細は2017年5月の開発者向けカンファレンス「Build 2017」で明らかになるだろう。
阿久津良和(Cactus)