「ワイモバイル」「UQ mobile」など、大手携帯キャリアが最近、低価格なサブブランドに力を入れる動きが目立っているが、一方で大手キャリアのメインブランドでも、学割で安価に利用できる施策を打ち出すなど、双方の立ち位置がやや不明瞭な部分も見え隠れする。大手キャリアはサブブランドをどのように活用しているのだろうか。
境界が曖昧に見えるサブブランド
低価格でスマートフォンが利用できるサービスの人気が急速に高まっているが、そうした中でも最近、積極的なテレビCM攻勢などで注目を高めているのが「ワイモバイル」と「UQ mobile」の2つ。そしてこれらはいずれも、大手キャリアが大きく関与している通信サービスであるという点で、共通している。
実際、ワイモバイルは「ソフトバンク」ブランドでモバイル通信サービスを提供するソフトバンクのサブブランドとして位置付けられている。またUQ mobileは、キャリアから回線を借りてサービスを提供するMVNOという立場ではあるものの、やはり「au」ブランドでモバイル通信サービスを提供する、KDDI傘下の「UQコミュニケーションズ」が提供するサービスであり、その回線を借りる先もKDDIとなっていることから、実質的にサブブランドというべき位置付けとなりつつある。
これらはいずれも、大手キャリアのメインブランドより安価な料金でサービスを提供している点で共通している。実際、双方の主力料金プラン「スマホプラン」「ぴったりプラン」は月額2.980円、さらに1年間は1,980円で利用できる割引施策などを提供していることから、安くても5,000円はかかる大手キャリアのスマートフォン向け料金プランと比べると、かなり安く利用できるのは確かだ。
しかしながら一方で、大手キャリアの戦略を見ていると、時折そうしたサブブランドの領域を侵食するように見える施策を打ち出すことがある。例えば今年の学割施策において、KDDIとソフトバンクは共に、18歳以下の新規利用者に向け、固定回線の契約や親の回線も新規契約するなどさまざまな条件は必要となるものの、高速通信容量が3GBまでであれば、月額2,980円から利用できる料金プランを提供している。当然ながら2,980円という金額は、それぞれのサブブランドの料金に匹敵する価格だ。
さらにソフトバンクに関して言うならば、ソフトバンクとワイモバイル、双方においてヤフーの「Yahoo!ショッピング」との連携施策を打ち出している。ソフトバンクは期間限定のキャンペーンであるのに対し、ワイモバイルはYahoo! Japanの有料会員サービス「Yahoo!プレミアム」と同等のサービスが無料になるなど、一歩踏み込んだ施策となっているという違いはあるが、いずれも施策の狙いや方向性は共通している。