2017年2月1日(以下すべて米国日時)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド15025を、ファーストリングを選択したPC向けにリリースした。「ナレーター」による点字のサポートや「フィードバックHub」「Night Light」の機能改善が加わっている。
OSSを積極的に取り込むWindows 10
今週金曜(日本は土曜)からWindows 10 Insider Previewに含む多くのバグを報告するイベント「Windows 10 Creators Update Bug Bash」が始まる。現在のWindows 10 バージョン1607となったWindows 10 Anniversary Updateでも同様のイベントを開催していたことから、Windows 10 Creators Updateも最終コーナーが見えてきたところだろう。なお、Microsoftによれば、現在の32ビット版Windows 10 Insider Previewに致命的なバグが発見されたため、32ビット版のリリースは見送っているという。ちょうどBug Bashが始まる週末までにISOのリリースが予定されているので、該当する方はISOファイルのダウンロードページをチェックしてほしい。
さて、OSビルド15025は主に視覚障がい者向けの機能強化が中心となっている。本ビルドでは「ナレーター」による点字のサポートや、モノラルオーディオのオプションが加わった。点字機能を利用するには、「ナレーター」が動作していることを確認してから「設定」の<簡単操作/ナレーター>から点字機能のダウンロードを実行する。ここでダウンロードされるのは、メッセージなどを点字表示デバイスに出力するOSS(オープンソースソフトウェア)の「BRLTTY」と、点訳エンジンの「Liblouis」。Windows 10に直接OSSを実装するWindows Subsystem for Linuxと同類の取り組みだ。筆者は点字表示デバイスを所有していないため、動作を確認することはできないものの、ユーザーの利益という側面から今回の取り組みを高く評価したい。
「設定」の<簡単操作/ナレーター>に用意された点字機能。ちなみに[Win]+[U]キーを押せば<簡単操作>を呼び出せる |
インストールを終えると使用する言語とテーブルの種類を選択する。現時点では日本語の点字には未対応だった |
さらにモノラルオーディオを追加した理由としてMicrosoftは、「スクリーンリーダー機能を利用している際、ヘッドフォンを片方の耳に取り付け、もう一方は周りの会話などに耳を傾けることが多い」と説明している。そのため片方の耳ですべての音を聞き取れる様にするため、本オプションを用意したのだろう。こちらは「設定」の<簡単操作/その他のオプション>で設定できる。
夜間になるとディスプレイの輝度によって目が疲れてしまうことから、Windows 10 Creators Updateではブルーライトカット機能が搭載されるが、本ビルドでは色温度の範囲として1200K(ケルビン)まで下げることが可能になった。もっとも眼球疲労の軽減に適切なのは5000~6500K程度なので、ここまで下げることは皆無だろうが、利用者の選択範囲が広がるのはメリットとなるだろう。
最後に「フィードバックHub」の改善を紹介する。フィードバックを送信しているインサイダーならご承知のとおり、既存のフィードバックは重複する内容が多すぎた。そのためMicrosoftは投稿前の事前検索を推奨していたが、バージョン1.1612.10251.0以降のフィードバックHubでは、検索時に重複したフィードバックをまとめる「コレクション」機能を追加している。動作を確認するため、いくつかのキーワード検索を試してみたが、グループ化したフィードバックを見つけることはできなかった。フィードバックHubは以前から投票数の分散など多くの課題が挙げられていただけに、よい改善となりそうだ。