同時接種をはじめとする予防接種の疑問について、「すがやこどもクリニック」院長の菅谷明則先生にお聞きした。
接種の間隔は何日空ければいい?
まず、予防接種のスケジュールを立てるためにも知りたいのが「予防接種の間隔を何日空ければいいのか」。菅谷先生によれば、予防接種から次の別の種類のワクチン接種まで、「生ワクチンなら4週間」(中27日)、「不活化ワクチンなら1週間」(中6日)とされているそうだ。
例えば、生ワクチンと不活化ワクチンを受ける場合、不活化ワクチンを先に受ければ、1週間後、生ワクチンを受けることが可能となる。一方で、生ワクチンを先に受けると、4週間後までは不活化ワクチンを接種できないことになり、両方の免疫を獲得するまでに時間がかかってしまうので、気をつけよう。
同時接種は本当に安全なのか
また、効率的に予防接種のスケジュールをこなすためには、たとえ低月齢の赤ちゃんでも、同時に何本も注射を打つケースがある。医師の判断によって異なるようだが、実際、同時接種はしても大丈夫なのだろうか。
この点について菅谷先生は「できるだけ早く免疫をつけるという意味でも、同時接種は常識。本数や組み合わせの制限はないので、かかりつけ医に相談してください」とアドバイスをくださった。海外でも同時接種は当たり前で、同時に複数のワクチンを接種しても、1本ずつ接種しても、それぞれのワクチンの安全性や効果に違いはないのだという。
接種の場所「太もも」も増加傾向
低月齢の赤ちゃんに接種する場合は、太ももに打つ方法もあるのだとか。「海外では、乳児は太ももに打つのが基本です。最近では、日本でも太ももに打つことが増えてきていて、小児科学会でも推奨しています」と菅谷先生。この件に関しても、かかりつけ医に相談してほしいというが、必ずしも腕でなくてはいけない、ということではないようだ。
スケジュール管理が複雑な予防接種だが、同時接種を原則として、接種できる月齢になったらすぐに接種し、次に受けるワクチンをかかりつけ医と確認しながら進めていけば、接種漏れを防ぐことができる。パパ・ママで協力しながら、子どもを病気から守ってあげよう。
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菅谷明則先生 プロフィール
慶應義塾大学医学部卒業。日本小児科医学会専門医医学博士(慶応義塾大学)。
2005年9月1日より「すがやこどもクリニック」を開院し、急性の病気だけでなく、気管支喘息、心臓病などの診療、予防接種、育児についての相談も受け付けている。明るく優しいホームドクターとして、多くの利用者から支持を得ている。
「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」の理事も務める。