NTTドコモは27日、2017年3月期 第3四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比プラス2.5%の34,696億円、営業利益は前年同期比プラス22.9%の増収増益。ドコモは今後とも、ユーザー還元のための施策に注力するとしている。登壇したNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、記者団から寄せられる質問に回答していった。

NTTドコモは27日、2017年3月期 第3四半期の決算を発表。対前年同期比で増収増益となった

iPhone 7は販売好調、Apple Payも利用増

iPhone 7の販売状況、収益の状況について吉澤社長は「発売当初は人気カラーの在庫不足で伸び悩んだが、今では前機種のiPhone 6s/6s Plusを上回る数が出ている。iPhone 7の販売数が第3四半期に相当寄与した。収益に与えている影響はそれなりに大きい」と回答。Apple Payの利用も増えているようで、「iPhone 7を契約いただく方のdカードの加入率が上がった。まだ”相当な額”というところまではいっていないが」と説明した。

dカードは1,700万契約に到達。dカードGOLDも200万契約を突破した。Apple Payの利用も増えているという

dカードは1,700万契約に達しており、dカードGOLDも200万契約を突破した。これについて聞かれると「dカードを通じた取扱高が増え、収益の面でも好影響が出てきている。クレジット事業の成長が営業利益に貢献しはじめた」とした。

サブブランドは「始めるつもりはない」

ソフトバンクでは「ワイモバイル」、KDDIでは「UQ mobile」といったサブブランドに力を入れ始めている。ドコモはサブブランドを開始するつもりはないのか、という質問には、「これまでも申し上げてきた通り、ドコモとしてはサブブランドを始めるつもりはない」と断言。

2016年始めにはドコモのユーザーが格安SIMサービスへシフトする傾向もみられたというが、「その後の影響は限定的で、1年間を通じて横ばいだったイメージ」。

フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えるユーザーを対象とした「はじめてスマホ割キャンペーン」を実施するなど、「ドコモの中でスマホを買っていただくための施策を打ってきた。auさん、ソフトバンクさんといった大手キャリアへのシフトだけでなく、ワイモバイルさんなどにも対抗する施策を打ちながら、ドコモに留まっていただく策を打っていきたい」とした。

カケホーダイライトプランが適用拡大

NTTドコモでは27日、「カケホーダイライトプラン」の適用となるパケットパックに、小容量2GBの「データSパック」を新たに追加した。

これについてどのくらいの人が使いそうか、と聞かれると「カケホーダイライトプランの契約者はかなりの数がいる。そのうち、どのくらいの方が選択するか。我々もシミュレーションを重ねている。2月にスタートして、それなりの数はいくのではないか。還元額もそれなりの影響になる」との見方を示した。

カケホーダイライトプラン適用拡大により、全てのシェアパックとデータパックでカケホーダイライトが利用可能に

キャリア間の移動が減少傾向に

今期の携帯電話契約数は、前年同期比で6%増(+400万契約ほど)となった。この内訳について聞かれると「これにはMVNOも入り、モジュールも、ハンドセット、タブレットも入っている。それぞれが増えている。モジュールに関してはスマートメーターの関係もある。増加率としてはMVNO、モジュールが高い。経営数字になるので、細かい割合は答えられない」と説明した。

携帯電話契約数は400万増で7,359万件となった。また今期の解約率は0.57%で、競合他社より低い

今期の解約率は0.57%だった。解約率が競合他社より低い理由について聞かれると「タスクフォースの中でスマートフォンの販売方法について見直しの議論があった。これによってキャリア間の行き来が沈静化したのがひとつの理由としてあるかも知れない」と要因を回答。

これは、今まで番号ポータビリティ(MNP)を利用してキャリアを乗り換えたユーザーにはキャッシュバックなどの特典が与えられるケースが頻発しており、それがキャリア移動の活性化につながっていたが、2016年春に総務省のタスクフォースでそうしたキャンペーンが禁止されたため、ユーザーの流動も沈静化したということ。

「また、キャリア間で競争が激化するなか、キャンペーンを打ち、料金の還元を強化するなどして、いかにドコモに残っていただけるかという施策を続けている。これをご支持いただいた結果、解約の低下につながったのではないか。お客様還元という意味では、さらに要望をしっかり踏まえて今後も継続検討していく」と今後の施策を語った。

タスクフォース"下取り規制"の影響は?

総務省のタスクフォースでは、スマートフォンの下取りに関して新たに規制が入った。下取り価格を高く設定することで新製品の価格を実質0円にしてはいけない、という内容だ。

これについて影響を聞かれると「2017年6月以降に販売する端末について、2世代前のモデルの下取り価格との兼ね合いになる。ルールに従って対応していく。iPhone 7に対する2世代前はiPhone 6で、現在は2万円程度に設定されている。その下取り価格をどうするか、検討していきたい」と話した。

総務省のガイドラインでは、これまでも端末の売り方について規制が入った。この影響については「MNPでポートインしてくる利用者に対して、0円以下での端末販売やキャッシュバックをすることが規制された。健全な競争ではなかった部分が規制されてきたということ。ドコモではMNPでポートインしてくる利用者に対して月々サポートを増額するなどしていたが、それがなくなった影響で年間で100億円強の利益が上に押し上げられた。しかし、お客様還元の施策をそれを上回る規模で打っている」と説明した。

ドコモでは今後も、お客様還元の強化を図っていく

トランプ大統領の影響は?

米国ではトランプ大統領が正式に就任し、米国では株価が上昇している。これについて期待感と不安感を尋ねられると「まだどういう影響があるかは申し上げられない。米国が日本の重要なパートナーであることに変わりはない。日米関係が維持され、これまで以上に強化される動きになることを期待したい。それ以上は答えられない」と答えるにとどまった。