2014年以来となる新車販売台数3万台の達成を目指すアウディジャパン。このたび明らかになった2017年の商品戦略からは、同社の本気度が伝わってくる。

世界販売は好調、日本で巻き返しなるか

独アウディの世界販売台数は2009年以来、7年連続で前年を上回る好調ぶり。2016年の実績は、過去最高だった前年を約4%上回る約187万台だった。ところが、日本市場では2014年に3万1413台を記録して以来、ここ2年は3万台弱という数字が続いていた。

2016年の日本における販売台数は約2万8,500台。これでも10年前に比べると2倍近い規模なのだが、アウディジャパンは今年、販売台数を再び3万台のレベルに乗せるという目標を掲げる。そこで重要になってくるのは、アウディジャパンが今年、どんなクルマを日本市場に投入するかだ。

まずはコンパクトカー「A3」を改良

「今年は新世代の製品群の投入が更に加速する」。2017年新春会見に登場したアウディジャパン社長の斎藤徹氏は、同社の商品戦略をこのように表現した。

会見を行った斎藤社長

アウディジャパンが2017年に発売する新製品群の皮切りとなるのは、1999年の登場以来、日本で7万7000台以上が売れたというコンパクトカー「A3」の改良モデルだ。ブレーキやアクセルを自動制御し、車間距離と速度を一定に保つ「アダプティブクルーズコントロール」をはじめとする運転支援システムを充実させたほか、「A4」などで採用して好評を博したというフルデジタルの多機能ディスプレイ「ヴァーチャルコックピット」を選択できるようにするなど、改良点は多々あるようだ。

新型A3。左が「セダン」タイプ。右が「スポーツバック」タイプだ

アウディジャパンのマーケティング本部長を務めるミクシェ・シルケ氏が新型A3の商品説明を実施。価格は293万円からとなる

人気のセグメントを押さえた商品戦略

新型A3以降にアウディジャパンが発売するのは、中型車の新型「A5」、ミッドサイズSUVの新型「Q5」、新規投入となるコンパクトSUVの「Q2」といった製品だ。新規投入1種とフルモデルチェンジ3種の計4種が今年、日本市場にデビューする。注目したいのは登場するクルマの種類。日本で人気のコンパクトカーとコンパクトSUVをしっかり押さえた商品戦略となっている。新規投入となるQ2について斎藤社長は、「新しいユーザー層の掘り起こしに期待したい」と語った。

さらにアウディジャパンは、電気自動車(EV)の市場投入も見据えているという。アウディ本社は今年、欧州で同社初となるEV「e-tron quattro」を発売する予定。これを2018年に日本にも導入するというのだ。いまいち普及が進んでいない印象のEVだが、遅かれ早かれクルマの電動化は確実に進んでいきそうな現在の情勢を考えると、輸入車勢としても、日本市場にEVを早めに投入しておくことは重要なのだろう。

EVに先立って普及するといわれるプラグインハイブリッド車(PHV)についてはどうか。アウディジャパンは2016年、A3のPHVバージョンを日本に導入したが、このクルマについては、「(製品の出来栄えという意味で)高い評価を頂いたが、値段が高すぎた」(斎藤社長)ため、そこまで販売台数は伸びていないという。

ちなみに、現在でも買えるA3のPHVバージョン「A3 Sportback e-tron」は消費税込みで車両本体価格が564万円だ。今回の新型A3についても、そのうちPHVバージョンを用意するそうだが、現行モデルの教訓をいかし、アウディジャパンがどのような価格設定を行うかにも注目したいところだ。