日本政策金融公庫は1月26日、「2016年度起業と起業意識に関する調査」の結果を発表した。調査時期は2016年11月、有効回答は18歳~69歳までの個人2万9,993人。

起業時点では専業起業が7割に

回答者のうち、経営経験がなく起業に関心のない層は60.6%。一方、起業に関心がある層は14.3%、起業家は1.5%だった。

起業関心層にまだ起業していない理由を尋ねると、「自己資金が不足している」が58.6%でトップ。次いで「失敗したときのリスクが大きい」が37.5%、「ビジネスのアイデアが思いつかない」が34.6%となった。

起業費用をみると、「100万円未満」と少額の資金で起業する割合が54.3%を占めた。次いで「100万円以上500万円未満」(29.0%)、「500万円以上1,000万円未満」(7.5%)となり、「1,000万円以上」は9.2%だった。

現在の月商(1カ月当たりの売上高)をみると、「30万円未満」の割合が42.1%となり、売り上げ規模は総じて小さい。「100万円以上」と回答した人は25.5%だった。

現在の月商(1カ月当たりの売上高)(出典:日本政策金融公庫Webサイト)

勤務者の起業を「専業起業」(勤務を辞めてからの起業)、「副業起業」(勤務しながらの起業)に分けたところ、起業時点では「専業起業」が72.5%、「副業起業」が27.5%となった。

勤務しながら副業として起業した理由は、「勤務収入が少ないから」が43.2%と最も多く、以下、「いずれ勤務を辞めて独立したいから」が38.5%、「空いている時間を活用できるから」が25.2%と続いた。さらに起業理由を4つに区分したところ、「勤務者としての不安・不満」が65.6%、「本格的な起業の準備」が56.0%、「経営資源等の活用」が50.1%、「働き方の追求」が34.2%となった。

副業として起業した理由(副業起業、複数回答)(出典:日本政策金融公庫Webサイト)

「起業家」「専業起業」「副業継続」(現在も勤務しながら事業を継続)、「専業移行」(勤務を辞め事業を専業化)それぞれの業績を比べると、「専業移行」は「専業起業」よりおおかた業績は良好だった。日本公庫は「勤務しながら事業経営を経験したことで、本格的な起業に向けての準備ができることがその背景にある」と分析している。