予防接種の副作用は気にするべき?

子どもがうまれると、避けられないのが予防接種。種類が多かったり、定期接種・任意接種があったりと複雑な上、「接種のスケジュールに追われて大変」といった声も聞かれます。また、予防接種の副作用の危険性を訴える情報がネット上で拡散されるなど、パパママの不安は尽きません。

そこで今回は予防接種について、小児科医の竹中美恵子先生に聞きました。

Q.予防接種に、副作用はあるのですか?

予防接種をした後に、接種したところが赤くなったり、2~3日熱が出てすっと下がったり、といったことはあります。しかし、その多くは副作用ではないと考えられています。

例えば、ワクチンを打つときに小児科に行って風邪をもらってしまったり、引きかけの風邪で、まだ熱が出ていないときに打ってしまったりして、たまたま後から熱が出たという可能性があるからです。また、緊張して疲れが出ることで、子どもが発熱することもあります。

日本のワクチンというのは、非常に厳正なる調査をした上で、使われているものばかりなので、極めて安全性が高いです。最近、「副作用が出る」「有害な成分が含まれている」などの理由で予防接種が危険だという情報も流れていますが、本物のワクチンと偽物のワクチンを打った場合、同じように、発熱などの反応が出ることがあるという実験結果もあります。

ワクチンが出されている病気というのは、実際に感染すると生死を分けるような重篤な疾患が多いので、予防接種を受けない方が、よっぽど怖いと思います。これまで診てきた患者さんの中には、予防接種をしなかったために子どもに後遺症が残り、何十年も後悔されているお母さまもいらっしゃいます。子どもたちには予防接種を受けさせてあげて、防げる病気はぜひ防いでもらいたいと思います。

Q.「予防接種を受けていたのに、病気にかかってしまった」という話をよく聞きますが、それはなぜですか。

まず、ワクチンの感染予防率は100%ではありません。免疫がきちんとできなかった場合は、感染してしまうケースもあります。また、予防接種を受けてから免疫ができるまでは、約2週間かかるといわれているので、それまでの間にかかってしまうこともあります。

ほかにも、例えばインフルエンザのワクチンであれば、日本において、その年に流行すると思われるもの1種類しか出回りません。ですから、打ったワクチンとは違う型のインフルエンザにかかってしまうということは当然ありえます。

Q.同時接種については、「1種類まで」または「何種類でも大丈夫」と、先生によって判断が違うようです。それはなぜですか?

先生の考え方によりますが、例えば1回に1種しか打たない先生は、アレルギー反応を懸念していると考えられます。というのも、アレルギー診断がつく前の乳児で、実際にはアレルギーを持っていた場合、生ワクチンを打つと、アナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があるからです。

一方で、日本小児科学会では「同時接種において、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない」としています。また、同時接種の方が、時間や労力が軽減できる上、子どもの精神的な負担は少ないと言えます。

まずは、小児科医になぜそのような接種方法を推奨しているのか、聞いてみましょう。その上で、親が自分たちの考え方で接種の方法を決め、その考え方に合ったかかりつけ医を見つけるのがいいと思います。

※未就学児童の症状を対象にしています
※画像と本文は関係ありません

竹中美恵子先生

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。