1月初旬に米ラスベガスで開催された「CES 2017」。AIやVR、有機ELテレビなどが主役を張り合う中にあって、パナソニックから気合いの入ったフラッグシップカメラ「LUMIX GH5」が正式に発表された。

本レポートでは、現地で撮影したLUMIX GH5の実物と6K PHOTO、4K動画の作例を掲載。パナソニック イメージングネットワーク事業部 商品戦略企画部 担当部長 前田将徳氏の談話を交えつつ、その実力を紹介しよう。

「LUMIX GH5」。米国では3月後半の発売予定で、価格は1999.99ドル前後となる見込みだ。天面や背面など、実機の写真は次ページにまとめて掲載している

LUMIXシリーズの次期最上位モデルであるLUMIX GH5は、2016年9月の「Photokina 2016」で開発発表されており、動画撮影では4K/60pや4:2:2 10bit、静止画撮影では1,800万画素の6K PHOTO機能、秒間60コマ連写が可能な4K PHOTO機能を搭載することが知られていた。

今回のCES 2017では、イメージセンサーのLIVE MOS センサーや画像処理を行うヴィーナスエンジンの詳細など、スペックが明らかにされたが、パナソニックブースにおけるLUMIX GH5の展示は、スペックや機能の説明よりも作例の鑑賞や実写体験コーナーが目立つ印象だ。実際に見てもらいたい、使ってもらいたいという意図がうかがえる。

LUMIX史上最高画質を証明

まず、LUMIX GH5のカメラとしての実力を証明するのは、2015年にピューリッツァー賞を受賞した写真家、ダニエル・ベレフラク氏の作品だ。LUMIX GH5が搭載するLIVE MOS センサーは、前作GH4の1,605万画素から2,030万画素に高画素化されたうえに、ローパスフィルターを省いた仕様となっている。商品企画を担った前田氏が、「色合い、階調性、立体感などすべての点でLUMIX最高画質」と説明する通り、この新しいセンサーとヴィーナスエンジンの実力が伝わってくる。

LUMIX GH5で撮影したダニエル・ベレフラク氏の作品。色彩豊かな、カンボジアの人たちと風景が印象的だが、間近に見ると細部の写りや階調表現に驚かされる

4K/60pの滑らかな動きがわかる、動画作品コーナーも圧巻。LUMIX GH5は、プロユースも視野に入れて開発されており、プロの制作現場で使われる4:2:2 10bit フォーマットを単体で記録できる。「GH4でもHDMI経由で外付けの記録デバイスに4:2:2 10bit出力ができていたが、GH5では単体で実現」(前田氏)。プロの現場では、この機動力が歓迎されるはずだ。

4K/60p動画は、ここに掲載した写真よりも、本稿の最後に掲載した動画リンクを見てもらうほうがわかりやすい

LUMIX GH5の新機能で、筆者が一番注目しているのが「6K PHOTO」だ。「これまでの4K PHOTOが約830万画素だったのに比べ、GH5の6K PHOTOでは約1,800万画素となった。引き延ばしてプリントできるようになったことで、プロの写真家からも実用的になったと評価された」と前田氏。夏には、(4K動画の) HDR撮影に対応するアップデートを行う予定がある。

ブースにおける6K PHOTOの作品展示

GH5左肩のダイヤルで「6K PHOTO」モードに切り換えられる

LIVE MOS センサーの高画素化によって実現されたのは確かだが、「センサーの画素数だけではなく、ヴィーナスエンジンの性能の進化も大きい」とのこと。約1,800万画素の動画を単純に静止画として切り出すのではなく、ヴィーナスエンジンがエンコードして "写真" として仕上げるのだそうだ。以下3点の写真は、ブースに展示されていた6K PHOTO作品の元データ。クリックして拡大しながら、その実力を感じ取っていただきたい。

6K PHOTO作品データ

6K PHOTOでここまでディテールを表現できる

6K/30コマ連写で今まで撮れなかった一瞬も収めやすく

カメラに向かって走ってくる黒い子犬を6K PHOTOで。動体に対するAFの追従性も向上させたという

LUMIX GH5では、4K PHOTOの連写コマ数が60コマ/秒に高速化された。連写の高速化は、ローリングシャッター現象の抑制にもつながる。これはLUMIX GH5の液晶モニターに映した作例。時速230kmでホームを走り抜ける新幹線をフレームにバッチリ捉えている