いすに座りっぱなしは止めて体を動かそう

毎日朝から夕方までデスクの前に張り付きっぱなしで仕事をし、定時が過ぎたら「これからが本番だ! 」と言わんばかりに夕飯のコンビニ弁当をかきこむ……。こんな毎日が定番化していないだろうか。こなしてもこなしても一向に仕事は減らず、自身の体力や集中力だけが減っていくのを実感しているオフィスワーカーも多いはずだ。そんな人たちにとって朗報と呼べそうな研究結果がこのほど発表された。

海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「職場での休憩と仕事効率」に関するコラムが掲載された。1時間に1度、短い散歩休憩をとると仕事の効率が上がり、ダイエットにもよいことが判明したという。

長時間デスクワークを続けると糖尿病うつ病、肥満などのリスクが増大する。座りっぱなしで仕事をしてわざわざ疾病リスクを上げるよりも、頻繁に短時間の休憩をとり、立ち上がって歩き回ろう。そうすることで活力が増し、気分も高揚するとのこと。その好影響は一日中続き、ダイエットにもつながるといいことずくめだ。

研究は、コロラド大学アンシューツ・メディカル・センターとジョンソン&ジョンソン・ヒューマン・パフォーマンス・インスティチュートによって実施された。研究チームは30人の成人に対して3種類の試験を行い、どのような影響が出るかを調べた。

研究チームはまず、参加者に健康診断を行うとともに、活力、気分、食欲を自己申告してもらった。その後、1つ目の試験では、参加者はトイレに行く以外に席を立てず、ほぼ6時間連続して座ってもらった。2つ目の試験は最初に30分間、トレッドミルで穏やかな歩行運動をしてもらってから一日をスタートしてもらった。3つ目の試験では、1時間ごとに5分間、合計6回にわたりゆっくりと散歩をしてもらった。

研究チームは参加者のストレスホルモンレベルを調べると共に、一日を通して気分や活力、疲労度、食欲などを自己申告してもらった。その結果、1時間ごとに5分間ゆっくりと散歩してもらうことに多くのメリットが確認された。総合的にみると、こまめに休憩をとると好影響は一日持続するが、早朝にまとめて運動をすると、その好影響は一日もたなかったという。

「ほんの少しの運動を一日のさまざまな時間に行うことは、心身の健康を保つ実用的で簡単な方法です。動くことが重要なのは明らかです」と研究グループの一員であるジャック・グロペル氏は語っている。仕事を早く終わらせてアフター5を楽しみたい日は、いすに座りっぱなしでいるよりも適度に席を離れた方がよさそうだ。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。