景気は上向いているというけれど給料はなかなか増えない、にもかかわらず食料品などの価格は上がっていてお金は貯まらない。終身雇用とはいえない時代になって、いまの会社にいつまでいるのかわからない……会社員を取り巻く現状は閉塞感がいっぱい。

そこで注目したいのが「副業」です。大手企業も副業を解禁し始めたいま、サラリーマンも"二足のわらじ"を履く時代になっているようです。

会社が副業を推奨する時代がやってきた

「貯蓄がふえない」という声を、よく聞きます。それもそのはず、国税庁の民間給与実態統計調査結果によると給与所得者の平均給与は1997年に467万円だったのが2015年は420万円。前年より5万円増えたものの、ピーク時と比べると50万円近くも下がっています。

貯蓄をふやすためには「節約して支出を減らす」「投資をしてお金に働いてもらう」という方法がありますが、収入はなかなか増えない、節約は難しい、マイナス金利で安全性の高い運用が難しいというのが現実。そこで、第3の方法として「副業で収入を増やす」ことが注目されています。

副業というと、かつては会社に内緒でこっそり……というイメージがありましたが、いまや副業を公認したり、中には推奨したりする会社もあるほど。副業を容認する会社はITやベンチャー系と思われがちですが、ロート製薬が2016年4月から就業時間外や休日に副業できる制度を導入するなど、大手企業も推奨はしないまでも全面禁止はしない会社が増えているようです。

副業でできる仕事には、どんなものがある?

では副業は、どうやって見つけたらいいのでしょう。本業が好きならば本業に関連した仕事の中から選ぶと、知識や経験を生かすことができ成功しやすくなります。またスキル面でも相乗効果が得られ、自分の将来にもつながるはずです。効率性から見ても、本業に近い職業の方が稼ぐことができる可能性が高まります。継続的に副業をすることを考えるのなら、一番目の選択肢といえるでしょう。

逆に本業とは全く違うことをして気分転換を図る、という考え方もあります。とにかく副業でストレスを抱えたり、体力的に負担になったりしては本末転倒。いずれにしても、モチベーションがアップするような仕事を選ぶことが大切です。

副業として考えられる仕事をピックアップし、タイプ別に整理したのが下の表。基本的には確実に稼ぎたいのなら時間労働型、趣味を生かしたり楽しんだりしながら稼ぎたい、初期の収入にはこだわらない、というのなら成果報酬型から選ぶといいでしょう。

「副業」とひとことでいっても、仕事はさまざま(成果報酬型)

(時間労働型)

副業を成功させるために気をつけたいことは?

サラリーマンが副業をするに当たっては、気をつけなくてはいけないこともいろいろあります。まずは勤務先の就業規則をチェックし、副業は可能なのか、届け出や許可は必要なのかを確認しましょう。公務員の場合は法律で禁止されていて、発覚すると減給や停職など懲戒処分の対象になります。

副業が軌道に乗って所得金額が年間20万円を超えたら、確定申告をして税金を支払う必要もあります。今年から税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度が導入され、副業の申告漏れをチェックしやすくなっていますから注意が必要です。

副業をするときは、ここに注意!

いまの時代、会社に依存しないことは人生のリスクヘッジにもなりますから、副業を持つのは賢い選択です。ただ"お金のため"だけに始めると長続きしません。収入はあくまでプラスα、楽しみながらできる仕事を選ぶことがポイントです。


鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。