日本独自の車格である軽自動車。お国柄や時代背景にもマッチして日本ではシェアを拡大してきたが、一方で“ガラパゴス化”を指摘されることもある特殊なクルマだ。そんな軽自動車だが、ここ数年で販売台数が著しく落ち込むなど、勢いに陰りが見える。軽自動車税の増税が響いているのは確かだが、変調の要因は他にもありそう。復調への道筋を見出すことはできるのだろうか。

2017年は盛り返せるか

軽自動車の販売台数は減少を続けている。全国軽自動車協会連合会(全軽自協)のデータによると、2016年4~9月の新車販売台数は75万9,970台で、全年同期の90.2%となっている。2014年4~9月は100万4,985台と100万台を超えていたから、2年間で約4分の3に減少してしまったことが分かる。

ちなみに、軽自動車以外の自動車(登録車)のデータを出している日本自動車販売協会連合会の数字と比べて、4~9月の軽自動車のシェアを出してみると、2014年から順に40%、36%、33%と、確かに下がり続けている。

金額以上のインパクトがあった増税

2015年4月に軽自動車税が年間7,200円から1万800円に上がったことは、確かに響いているようだ。増税幅は3,600円であり、1,000cc以下の登録車の2万9,500円と比べればまだ2万円近い開きがあるので、ここまで減らなくてもいいと思うかもしれないが、それ以前に「増税」の2文字に冷静さを失い、増税前に駆け込み購入したユーザーが多いようだ。

主力車種のモデルチェンジが2015年以降なかったことも、販売が落ち込んだ理由に数えられるだろう。自社開発の乗用車に限ると、モデルチェンジしたのはスズキの「アルトラパン」と「エブリイワゴン」、新型車はダイハツ工業の「キャスト」、「ムーヴキャンバス」と本田技研工業の「S660」となっている。

ここ最近は新顔の登場が少なかった軽自動車業界だが、ダイハツ「ムーヴキャンバス」はニッチな商品戦略も含めて注目を集めた

今年はダイハツ「ミラ」やスズキ「ワゴンR」、ホンダ「N-BOX」のモデルチェンジが予定されている。これら新型の登場を待って買い替えを考えるユーザーもいるはずだ。ただ、軽自動車の販売を予想するうえで、気になる状況があるのも事実。人口減少と大都市への集中だ。